雪森蓮 / 第5話

僕の家は共有資産ではありません

僕は冷蔵庫を開けた。 卵、二個。 よし。 ラーメン屋で煮卵を追加すると高い。 だが、自作なら安い。 人類の知恵である。 僕は鍋に水を入れ、 静かに卵を茹で始めた。 「……完璧だ」 半熟。 いい感じ。 それを小さな保存容器へ入れ、 麺つゆを注ぐ。 冷蔵庫へ。 『明日の俺へ』 付箋まで貼った。 完璧だった。 少なくとも、 あいつらが来るまでは。 翌日。 仕事から帰宅した奏は、 疲れ切った顔で冷蔵庫を開けた。 そして固まった。 空。 「…………」 嫌な予感がした。 背後。 「おっ、あの卵うまかった!」 海斗だった。 「…………」 「味しみしみじゃん! あれ天才!」 「…………」 「また作れよ!」 「…………」 僕は静かに震えた。 「あれは……」 「?」 「あれは僕の……!」 「うん?」 「明日の希望だったんだよぉぉぉぉ!!!!」 海斗は爆笑した。 「ギャハハハハハ!! 卵で希望とかスケール小さすぎんだろ!!」 「小さい希望で生きてんだよこっちは!!!!」 颯太はソファでスマホを見ながら呟いた。 「奏の人生、常に“あと一歩の所で報われない”な」 「お前らが原因だよ!!!!」 「てかなんでお前ら僕の留守に勝手にいるんだよ!!」 僕は絶叫する。 海斗は人のソファに寝転がったまま、 ポテチを食べていた。 「ん? 颯太が合鍵作ったから」 ポリポリ。 「は?????」 僕の思考が止まる。 「いつの間に!? てか颯太!! なんでだよ!!」 颯太は悪びれもせず、 奏のノートPCを勝手に起動しながら答えた。 「お前がこっち帰ってきてすぐ」 「は???」 「お前寝てたからな!」 「最低だなお前!!」 「隙を作る奴が悪いのさ ァ ’,、',、(‘∀) ',、’`,、」 「意味わかんねぇよ!!」 海斗がケラケラ笑う。 「いやーでも便利だわー。奏いなくても部屋使えるし」 「使うな!!!!」 「冷蔵庫の卵うまかった」 「それお前かぁぁぁ!!!!」 僕は頭を抱えた。 だめだこいつら。 早くなんとかしないと。 だけど。 なんともならない事は、 高校の頃から知っていた。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳