綿ダッコ / 第24話

第23話 青い宴

 「皆さんのおかげで、産むことが出来ました。本当にありがとう」  部屋には、基晴や治輔、この内宮に従事している人たちが集まっていた。  安良子さんとか和子さん、料理関係の人たち、侍司は例外だけどね。 「今日からお酒を解禁したから、呑みたい人は呑んでくださいね」  全員が頭を下げる。  ドンちゃん騒ぎが始まった。  ただ、舞子の方から音は一切しない。  一子は、宴中だけ別の部屋でお世話している。  一子が居ないにしても、おかしいぐらい音がしない。 「舞子様、大丈夫でございますか?」  舞子は、肘掛けに身を預けるだけで、目の前にある食事を取ろうとしない。 「大丈夫よ…………。ただ、お腹が空いていないだけなの」  いや、無理をしている。  お腹はたしかに空いていないのかもしれない。  でも、せっかく元に戻った顔色が、悪くなっている。  「せめて、お水だけでも飲まれては?」 「…………取ってちょうだい」  俺は慎重に器を渡した。  舞子はゆっくり器を傾けた。  零さないかヒヤヒヤする。 「…………ありがとう、雅道」 「舞子様のことは、いつでもお守りしますから」 「…………頼もしいわね」  舞子の口角が少し上がった気がした。 ◇ ◇ ◇ ◇  宴はいつも通りだった。  けど、酔っ払っている人は少ない気がする。 「舞子様、本当に大丈夫でございますか?」  顔色がまだ元に戻っていない。  深刻なほど顔色が悪いわけじゃない。  けど、流石にヤバい気がする。 「舞子姉さま、もうお開きにしましょう」  治輔の提案に、舞子は頷くだけだった。 「この宴は、終了とする。皆の者は下がるように」  舞子の代わりに治輔が号令をかける。 「舞子様、横になりましょう」 「皆が、帰って、から…………」 「舞子姉さま、そんなこと言っている暇はありません!!」 「でも…………」 「…………じゃあ、仕切りを立てましょう」  治輔が頷いてくれて、仕切りを急いで持ってきた。  その様子を出ていく人たちは誰も見ていなかった。  正直、横になってもいい気がする。  何をそんなに…………。  「舞子姉さま、これで皆には見えませんから」 「…………ありがとう。そういえば、お父様は…………?」 「お父様は、仕事に行きました。それよりも、休んでください」  声もかすれている。  深刻な病気じゃないとええんやけど…………。 「雅道、今晩は一子様はそこでお世話をするように、伝えてきてくれ」 「承知致しました!!」 「待って…………!!そ、れ、だけは…………」  俺は、思わず足を止めてしまった。 「舞子姉さま、お願いです。ご自身のお体も大切にしてください。一子様は我々が責任を持って、お守りしますから」 「…………そう」  廊下とはいえ、景色が目まぐるしく変わる。  けど、脳内には入ってこなかった。 「今晩はここで、一子様をお世話するようにと伝令です…………!!」  少し走っただけ。  けど、息を切らしていた。 「舞子様から?」 「いえ…………治輔様からです」 「じゃあ、戻った方が…………」 「…………命令ですので」  舞子の顔色が悪いことを言おうとした。  けど、混乱をきたすのは良くないと思った。  舞子のためにも。 「伝えてくれたか?」 「…………はい」  口の中が血の味がする。  水が欲しい。 「水、飲むか?」 「ありがとう、ございます…………」  冷たくて、美味しい。  安良子さんに貰った時のことを思い出す。 「…………どうして、そんなに気遣ってくれるの?」

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