最強バトルの人 / 第10話

第8話 少女の旅路

≫≫≫≫ 最 強 バ ト ル ≪≪≪≪ シャオ・ロンパオ vs ??? 【名前】シャオ・ロンパオ(小 龍包) 【属性】旅する拳法少女 【年齢】17 ────────────── 【名前】??? 【属性】??? 【年齢】??? 【能力】??? ────────────── リーリーリーリーリーリー コロコロコロコロコロコロ 虫の鳴き声が心地よい春の夜空の下。 二人と一匹が、焚き火を囲んでいた。 「はい、アル」ハグハグ 「おう。ありがとう」 俺は焼き魚を受け取り、口に運んだ。 シャオも美味しそうに頬張っている。 子パンダはそこらの竹に齧り付いている。 シャオについていく決意をしたあの日から、10日が経っていた。 「――シャオ、聞いてもいいか?」 「なんアル?」 この少女は、目の前で、自らの父を殺された。 ――10年前、“黒龍拳のウーミン”によって。 一見明るく振る舞っているのも、それを隠しているのだろう。 小さな体に、どれだけの重荷を抱えているのか。想像するだけで、胸が痛んだ。 シャオの父は、俺にも拳法を教えてくれた。 老師のもとで修行に励む俺たちは。――シャオがどう思っていたかは知らないが、まるで兄妹のように見えていただろう。 肉親が目の前で殺される。 その恐ろしさ、悲しさ、悔しさ、怒りは。 父母のいない俺にとって、いくら考えてもわかるものではなかった。 「シャオ。――“黒龍拳のウーミン”は、どこにいるんだ?」 「……わからないアル。ずいぶん探したけど、黒龍拳の手がかりさえ、いまだ掴めていないアル」 少女は悔しそうに続けた。 「黒龍拳とはなんなのか。その規模。技術体系。――すべてが、謎に包まれているアル」 …… ん? おかしいぞ。 俺は、黒龍拳のことを、知っている。 ――黒龍拳とは。 ここ十年で急速に力をつけている約三万人の邪道拳法の一派。各地で殺傷事件を繰り返している。 入門の条件は、ただ「強い」こと。 ウーミンに認められたものだけが「四天王」を名乗ることができるが、真の黒龍拳を使えるのは、宗師ウーミンだけである。 なぜ知っているか。 教科書に書いてあったからだ。 なんなら、たまにニュースでも流れている。 ……まさか、この娘。 「……シャオ、普段、ニュースは見ないのか?」 「なんか難しいことしゃべってるやつアルよな? みないアル」ハグハグ 予感が、的中した。 「――ごくん。今まで中国全土を歩きまわったけど、手がかりなしアル。でも――」 シャオがもう一本の焼き魚を手に取って言った。 「町でさっき、有力な噂話を聞けたアル。 ――西の方に、全身黒い服を着た人が歩いていった。 ぜったいウーミンアル! 夕飯を終えたら、すぐ出発アル!」ハグハグハグハグ お、おい。 全身黒い服のやつなんて――。 そう言おうとした矢先。 シャオ「――ごっくん! はーごちそうさまアル! よし、行くアル! ついてくるアル、子パンダちゃん! とハゲ!」シュタタタタ 子パンダ「キュン!」トコトコトコトコ ドウ「――お、おい! しかもそっちは西じゃなくて東――」 疾風迅雷の早さで走り出したシャオと子パンダ。 毎日こんな感じだ。 そうか。だから、毎日が美味しい肉まん食いだおれツアーみたいだったのか。 想像する復讐劇とはまるで違うと思いながら、俺は焚き火の後始末をし、食いかけの焼き魚を持って必死に追いかけるのであった。

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