最強バトルの人 / 第9話

第7話 田舎道

※若干のホラー要素あり
「――これに懲りたら、もう怪しい真似は――」 「あぁ〜、はいはい! わァーかってるってお巡りさん! ほんじャなァ〜」   * 「……シャハハァ〜。ひっさしぶりの、娑婆《シャバ》だぜェ〜」 ヴァイツ「さァ〜て、今日はどいつを丸呑みにしてやろォ〜かなァ〜!」 ギョロリとした白い目。鋭い牙。何より、その右腕。 「い〜ッぱい身体も休めて、オレの可愛いヘビちゃんも絶好調だぜェ〜。シャハハハ!」 右腕がアナコンダの怪人。ザ・ヴァイツである。 「しっかし、なんで留置所っつゥのは、こんなクソ田舎にあんだろォなァ〜。イラつくぜェ〜」 はやく肉が食いたい。 腹の中を新鮮な若い子どもでいっぱいにしたい。 それでそのまま寝てしまいたい。 「こ〜んな街灯もねェ田んぼしかねェジジババすら来ねェ寂れた暗れェ〜道。どんな物好きが通るっつゥ〜んだよ。国はなァ〜にしてんだか。あァ〜早く繁華街に行きてェぜェ〜」     ぐちゅ。     ぐちゅ。     「……んあァ〜? ってオイ!」 「――オレさまの大事な大事なくまちゃんの靴下がァァァ! クッソ湿ってるじゃねぇかァ!!」 ぐちょぐちょに湿った靴下に不快感を覚え、ヴァイツが自らの足を見る。     「舗装工事ぐらい国の奴らがポケットマネーでも出してすぐやりゃァ〜いいのによォ!! あァ〜イラつくぜぇ!! また、交番に無言電話かけまくって解消するしかねェ〜なァ!! 国が全部悪いぜェ!! オラァ!!」 右腕を伸ばして、近くにあったカカシをなぎ払う。 首がだらんとぶら下がった。 リーリーリーリーリーリー ガチャガチャガチャガチャ ジージージージージージー 田舎道特有の虫の声が、精神を侵食する。 くそ。パチンコ屋の店内かっつーの。 あの番組がオレをリストラしなければ。 10年後には借金も返せたのに。 リーリーリーリー ガチャガチャガチャ ぐちゅ。 「くそが」 コロコロコロコロ ジージージージー ぐちゅ。 「くそがよォ」 スイッチョンスイッチョン グワグワグワグワグワグワ 「……」       ヴァイツ「シャ〜ァハハハハハハハハァハ〜ぁああああwwwwwwwww!!!!」 ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。 勢いよく走り出した。 急に楽しくなってきた。 そうだった。笑ってさえいれば、嫌なことは考えなくていいんだ。 よし。もっと笑ってもっと走ろう。 ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。         ぐにょ。 「――ハハハハァハハハハァハぁああああぁぁぁwwwwwww……ぁあァ〜?」 何か変な感触。 うげ。 犬のフンでも踏んだか? 嫌な予感がしながら足下をみる。     すると、           濡れた白い軍手だった。   「――なァ〜んだ。田舎道によく落ちてるヤツじゃねェーかァ。シャハハハ」     違う。   わかってる。   白い軍手ではない。     それは。     青白い子どものウデだった。     「うおおォォおお!? 気持ち悪ィ!」 反射的に蹴飛ばす。 しかし。 今まであると思っていたものがなかった。 ずぶずぶ。 ずぶずぶ。 ずぶずぶ。 「――地面がねェ! 底なし沼だとォ!?」 沈んでいく。 沈んでいく。 気持ち悪い。 足を大股に開く。 駄目だ。 開いた先も地面がない。 ゆっくり。 太腿。 ゆっくり。 腰。 もがいても。 胸。 もがいても。 首。 終わりのない「沼」。 「――うァァァアアア…………」     口。 顔。 頭。     チャポン。     ヴァイツの全身は暗い沼に沈んでいった。                         ヴァイツ(――……させるかよォ!!)     ヴァイツの右腕が、ギュンと伸びる。 そして、沼の上へ。地面の上へ。空気のある方へ。 アナコンダの首だけが顔を出した。     ヴァイツ(オレの呼吸は、ヘビがするッ! この「沼」は、オレを強制的に沈めようとしている! どこかにこの「沼」を操っている奴がいる! 正体を探せッ! そいつさえ倒せば、「沼」から出られるッ!)     もしかして。 さっきのカカシ? カカシの祟りなんて、聞いたこともないが。 バチが当たったのかもしれない。 モノに当たったくらいでケチくさいやつだ。     ヴァイツ(――伸びろッ! 蛇腕ッ!!) ヘビと視界を共有する。 さっきの首が落ちたカカシ。あれが怪しい。 ヘビの口を大きく広げ、     その全身を、丸呑みした。 ヴァイツ(――やったッ! オレの勝ちィッ!) そう思ったのも束の間。 外に出ていたヘビの腕を。 青白い子どものようなウデが。 掴んだ。 一本ではない。       たくさんの。             腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。腕。     ――うわァアァアアァァ――――…………     強制的に。 引き摺り込まれた。     沼男「   」ごくん         ≫≫≫≫ 最 強 バ ト ル ≪≪≪≪ 沼男 vs ザ・ヴァイツ 【名前】沼男(ぬまお) 【属性】都市伝説 / 怪異 【年齢】??? 【能力】 ぜったいに 沼男のでる みちは とおってはいけないよ ────────────── 【名前】ザ・ヴァイツ 【属性】ヴィラン 【年齢】34 【能力】蛇の怪人 ────────────── ◆━━━ 最 強 バ ト ル ━━━◆ 沼男 vs ザ・ヴァイツ ――――――勝者 沼男 ――――決まり手 ちっ息 [[illustration:https://api.kakippa.com/api/covers/illustrations/5f02bf16-12c5-4480-9d7f-82c77220e38d/1790456867780-5606dea5-abba-4ca0-9b9c-2774f4951909.jpg]]

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