最強バトルの人 / 第25話

第17話 修行開始!

河川敷。 シャオとドウの修行が、今始まる! ドウは歯を食いしばりながら問う。 ドウ「老師っ!! まずは何をいたしますかっっ!!」 ドウの奥歯が軋む。額に血管が浮かぶ。 授業料、手痛い出費だ。 そもそも、火鍋に会いに来たのは、金を借りるためだった。 それが、火鍋の家のドアの修理代、神雷火と暴風火の食事代、シャオのホテル代とともに……!! 若き青年の金銭感覚では耐えられぬほどの重圧を生む……!! プルプル ドウは、泣き出していた。         ――……ハゲ、なんで泣いているアル? あんなに泣くハゲ、子どもの頃以来アル。     ……たぶん。     たぶん、修行を受けれるのが嬉しいから泣いてるアル。 よかったアルね。ハゲ。 私は、ハゲに向かってニッコリと笑った。         ドウ「――!」 ――その時! ドウの頭に、最も頭を悩ませる問題を一気に解決する孔明の一手が、降りてきた!! ドウ(そうか!! ドアを壊したのは神雷火と暴風火!!! ドアはあいつらに払わせる!! さらに、授業料を除くすべての出費も払わせれば良い!! あいつらは、俺たちを殺す気だった!! 拳法家として負けた以上!! あいつらに払う義務がある!!) ――ドウの頭の中のもやが、晴れた。       ドウ「――老師。もう心配はありません。存分にご指導願います。」     ――シャオは気づいた。 ハゲの雰囲気が変わったアル。 今、強くなった……? 何が起きたアル。 やっぱりあのハゲ、わからないアル。 火鍋は車いすから、ふたりに檄《げき》を飛ばす。 火鍋「おう! ではまず、その場で伏せっ!! 腕立て伏せだぁ!!」     *     2990! 2991! 2992! 2993! 2994! 2995! 2996! 2997! 2998! 2999! 3000! 3001! 3002! 3003! 3004! 3005! 3006! 3007! 3008! 3009! 3010! 3011! 3012! 3013! 3014! 3015! 3016! 3017! 3018! 3019! 3020! 3021! 3022! 3023! 3024! 3025! 3026! 3027! 3028! 3029! 3030! 3031! 3032! 3033! 3034! 3035! 3036! 3037! 3038! 3039! 3040! 3041! 3042! 3043! 3044! 3045! 3046! 3047! 3048! 3049! 3050! …… ドウ「はぁっ! はぁっ! っはぁっ! っっはぁっ!」 3051! ドウの腕はもう限界であった。 休みたい。身体の重さを地面に預けたい。 ポタ。ポタ。 汗が水溜まりのように溜まっていた。     一方、シャオは。 シャオ「ふん ふん ふん ふん」 全く涼しい顔をしていた。 火鍋はふたりの様子をじっと見る。 そして、何か気づいた様子で、目を見開いた。 火鍋「――シャオ、テメー……。」 「俺より強ェーじゃねぇーか!!」     ――         火鍋「シャオ。テメーは破門だ」     ズコーッ シャオは腕立てを忘れ、顔からずっこけた。 シャオ「なんでアル!?」 火鍋は真剣な顔だ。 火鍋「師匠が弟子より弱いなんて、シャバイじゃねーか」 「それに、俺にはお前を強くさせられねーよ」 シャオが地面に伏せたままふくれ顔をしている。 シャオ「……看病して、ご飯までつくったのに。ひどいアル」プクー 火鍋「がっはっは!! 飯はこれからも作れ! なかなか美味いからな!」     「――それより、俺は」 「ドウ、テメーが気に入った」 火鍋がドウに視線を向ける。 3060……! 3061……! ドウは、必死に腕立て伏せを続けていた。 シャオは。 シャオ「ハ……。ハ……!」       「ハゲばっかりズルいアルーーーー!! ずるっぱげーーーー!!」 タタタタタタタタタタタタタタタタタタ――     わき目もふらず走り出した。     3062!     ドウ「……っっはぁっ! ……っっっはぁ!! シャオの分の……っっはぁ! カネは……! っはぁ! 払いませんよ……っっ!! っはぁ!!」 火鍋は変わらぬ調子で続ける。 火鍋「たりめぇーだろ。あいつはあいつでもっと強くなれる。俺には無理だ」 どしゃっ! ドウの体が落ちた。息も絶え絶えだ。 ドウ「――っっはぁ!! ――っっはぁ!!」 火鍋はニヤリと笑った。 火鍋「おーーぅ、そこが限界か。なら……」 「それをあと、二倍だ」     ドウは、信じられない顔をした。 ドウ「…………に…………、にば…………?!」 火鍋「早くやれ。テメーが強くなるのに必要なのはな」 「単純に、基礎体力だ」     *     ドウ「――……ぐぅぅあおあああ!!」 どしゃあ 3326。 一度も途切れさせずに行った、腕立て伏せの数である。 常人であれば異常。しかし、相手はあの火鍋であった。     火鍋「おいおい、そんなもンかぁー? 3326か。 俺が19の頃はもっと行けたぞ」     この漢。めちゃくちゃである。 今まで、効率的に拳法を学んできたドウにとっては、こんなものは修行とは言わない。 ただのオーバーワーク。 筋肉が成長する条件を満たしていない。 火鍋「あ――、計算がかったりぃな。よし、7000だ! テメーは7000回、腕立てできるようにしろ」 ドウ「――!! っっっはぁ――! っっっはぁ――! 老師、に……ばい……では……?」 火鍋「口答えしたな。10000だ」     ――――そのまま、地面に倒れたまま、朝が来た。     *     チュン チュン 火鍋「――おう、ハゲ。遅いじゃねぇか」モグモグ シャオ「ハゲ。昨日の麻雀、なんで来なかったアル?」カチャカチャ 神雷火「よぉ」モグモグ 暴風火「なかなか美味いぞ」モグモグ 子パンダ「キュウ」ホイ ホイ 四畳半には、みなが集まって食事をとっていた。 四天王ふたりは、子パンダに飯を食べさせてもらっている。 ――俺は、地獄の腕立て伏せの後、寝てしまった。そして起きたら、朝だったのだ。 火鍋「――ごっそさん! 美味かった! よし! テメーも飯食ったら河川敷だ!」シーシー シャオ「いいアルなーハゲは。修行うけられて」ジャーーーーゴシゴシ ドウ「――老師。今日の修行は――」 火鍋は調子を変えずにいった。 火鍋「あン? 腕立てだ。今日こそ10000まで行くぞ」     *     現在のドウ。3。     * 3331! 3332! 3333! 昨日の疲労は癒えていない。 限界を超えた限界を、さらに超えたハードワーク。 汗を垂らすドウに対し、火鍋がぼそっと喋る。 火鍋「カンタンに言うとよぉ。オレァおめーにホレてんだ」 3334! ドウ「――はぁーーっっ。老師……! あいにくですが……!!」 3335! 火鍋「んぁ?」 3336! ドウ「――色恋などはっっ!! ……ウーミンを倒すまではぁ……っ! 到底考えられませんっ……っ!」 3337! 火鍋はキョトンとした顔をし、笑った。 火鍋「がっはっはっは!! そうじゃねえ!! 安心しろ! 俺もヤローなんぞにキョーミはねえ!!」 3338! ドウ「……? では、っどういう意味で……っ!?」 3339! 火鍋がにやりと口角を上げた。 火鍋「ドウ。ホレてんのは、テメーの根性だ。あン時、テメーより強えヤツに怖けず、何度も向かっていった。その根性に、だ」 3340! 火鍋「でもよぉ。テメーは何度もやられ、戦いにさせてもらえなかった。なぜかわかるか?」 3341! ドウ「……! 俺が……っ! 弱い、からですか……!?」 3342! 火鍋「違う。ド根性だ」 ! ……3343! 火鍋「喰らっても喰らっても、弾かれねぇド根性があれば、戦いは続けられる。テメーは前に出る根性はあっても、後ろに下がらねえド根性が足りてねぇ」 ……3344! ドウ「――……っそれが! っあれば! ……っ、強く、なれますか……!」 …………3345! 火鍋は豪快に笑った。 火鍋「――がっはっは! あたり前だ! テメー、『《《最強の意地》》』が。まさか」     「俺だけのもんだと思っちゃいねぇよな?」       ……………………3346! どしゃあっ ドウは大きく肩を上下させ、何度も空気をむさぼるように息を吸った。 火鍋「よしっ。今日は終いだ。麻雀打つぞ。ハゲ。テメーは……」 「あの女よりも強くなれる」     * ドウ。3.1。

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