最強バトルの人 / 第19話

第11話 天下御免の漢、火鍋

町はずれの中華飯店。 シャオたちは思わぬ臨時収入により、ご馳走を平らげたところであった。 シャオ「あーー、美味しかったアル! 拉麺、炒飯、回鍋肉に北京ダック! どれも絶品だったアル!」 ドウ「ああ、俺のモヤシ炒めも美味かったぞ!」 子パンダ「キュウ!」 シャオ「あ、店員さーーん! 杏仁豆腐もちょうだいアル! あとそれと……」 シャオは食後のデザートを探しにメニューを選んだ。その眼差しは真剣だ。まるで獲物を狙うトラだ。 シャオ「? 何見てるアル?」 ドウ「いや、なんでも? とにかく、本当に鈍器暗器長剣短剣手裏剣大砲火《ドゥンチーアンチーチャンジエンドゥアンジエンショウリーチエンバズーカフオ》がいてくれてよかった!」 シャオ「早く忘れろアル」 シャオはさっきまで、ドウという男は、なんなんだろう。どういう人なんだろう。と考えていた。幼いころからずっと一緒ではあったが、いまだに何を考えてるか読みきれていない。 少女は、直接聞いてみることにした。 シャオ「何考えてるアルか」 ドウ「ん? ああ! 実は、この旅の最も難しい超難問を解決する兆しの一手を、さっき思いついたのだ!」 思ってた答えと微妙に違う返答に、少女は面食らった。 ドウ「金がないのなら……借りればいい!」 * とある町についた。 ここは、シャオたちの故郷の隣町だ。 幼いころ、何度か来たこともある。 少女は、少しだけ懐かしい気持ちになって、空気を吸い込んだ。 シャオ「ドウ、この町には誰がいるアル?」 ドウ「ああ。お前の父が生前親しくしていた友人がいる。頑張って頭を下げれば、いくらか金を借りられるだろう」 シャオ「!」 爸爸《ぱーぱ》にそんな仲の良い友人がいたとは。 それすらわかっていなかった。 ドウ「俺も小さいころに数回しか会ったことないがな。おっ、あの店だ!」 シャオとドウは店の看板を見上げた。 麻雀荘・無一文《ウーイーウェン》。 壁は剥がれ、屋根は傾き、今にも崩れ落ちそうな建物だった。 シャオ「……なんだかすごいとこアルね」 ドウ「よし、入ろう! 頼もーーーっ!」 ドウが店の戸に手をかけた、そのときだった。 「おとといきやがれーーーーーーっ!!」 バキーーーーン!! 「ぐわあああああああああ!!」 店の戸を突き破り、ひとりの大男が勢いよく飛び出してきた。 ドウ「どわっ!」 シャオ「アイヤー!?」 飛んできた大男は、二人をまとめて巻き込み、そのまま道の向こうまで吹き飛び、川に落ちた。 店主「二度とツラ見せんじゃねえぞ!」スカッ 店主は戸を閉めようとした。 戸はなかった。 大男は川から立ち上がり、叫ぶ。 大男「二度と来るか!! こんなボロ店ーーーっ!!」 シャオはドウの方を見た。 シャオ「……なにが起こったアル?」 ドウ「見つけたぞ!」 シャオ「?」 大男「?」 ドウ「この男こそ! お前の父の大親友――火鍋(フオ・グオ)だっっ!」 シャオ&火鍋「な、なんだと(アル)ーーーーーっっっ!!!??」 * 火鍋「っっっふ゛う゛うわあっっくしょん!! チッキショーーがッッ!!」ブルブル 店から追い出されたこの男――。火鍋は、川の水でビショビショだった。 ドウも、ビショビショ。 シャオは、子パンダに髪と服をタオルで乾かしてもらっている。 シャオはドウに耳打ちした。 シャオ「――本当に、この見るからにおっかないボロボロ顔面ゴロツキおやじが、爸爸《ぱーぱ》のともだちアルか?」ヒソヒソ ドウ「ああ! 昔、会ったことがある!」 すると、火鍋はドウの方を睨み、メンチを切った。 火鍋「あ゛ぁ゛ん!? テメーみてーな野郎、知らねーなぁー」メンチ ドウは立ち上がり、姿勢を正した。 ドウ「隣村の、ロンパオ老師の弟子だったドウ・ナットンジャです! お久しぶりです!」ペコリー 火鍋「――……隣村のロンパオ? ! あの! ウーミンのクソ野郎に殺された、あン野郎の、弟子――!?」 ドウは、さらに深く頭を下げた。 ドウ「この通りです!! 憎きウーミンを倒すため!! 俺たちに金を貸して――」 火鍋「取り立てかア!? 金は返せねえぞ!? 一銭もねぇからなあ!!」 ふたりは、顔を見合わせた。 ドウ&火鍋「「……ん?」」 子パンダ「キュウ?」 * 火鍋「なるほど。じゃあテメエ等は、ウーミンの野郎をぶっ飛ばしに旅をしてるって訳か」ブルブル ドウ「はい」 シャオ「はいアル」 ここは火鍋の家。ボロボロの四畳半だ。 家具らしい家具は、小さなちゃぶ台だけ。 ドウはやかんを沸かしてアイロンにし、自らの道着を乾かしている。 シャオは、子パンダの体をタオルのように使って水気をくまなく取っていた。 火鍋「っぶわあっくしょん! チッキショー!」ブルブル ドウ「あの」 ドウは尋ねた。 ドウ「その濡れた服、乾かしますよ。さあ」 火鍋「――あぁん!? こんくらい、すぐ乾くだろ! ――それに――」ブルブル 火鍋は、窓のへりに足を組みながら腰掛けた。そして、窓の外を見て言った。 火鍋「――漢が。一度濡れたテメエの服を簡単に『乾かす』なんて、シャバイじゃねえか」 ドウ「?」 シャオ「?」 子パンダ「キュウ?」 火鍋は、もう一度言う。 火鍋「――だから、漢が! 一度濡れたテメエの服を! 『テメエの勝手で簡単に乾かす』なんざ! シャバイってことだ!!」         ドウ「?」 シャオ「?」 子パンダ「キュウ?」 シャオもドウも、わからなかった。 子パンダにも、わからなかった。           火鍋はそのまま話し始める。 火鍋「……ロンパオ、か。 あン野郎は、いけすかねえヤローだった……」 シャオはぴくっと反応した。 シャオ「……爸爸《ぱーぱ》と、ともだちだったアルか?」 火鍋「友達? がっはっは!」   火鍋は、昔を思い出した。   火鍋「――ただ、俺がロンパオから金を借りてただけだ。」               火鍋「おおかた、あいつが何度も俺の家に来るもんだから、子供のお前らにはそう見えたんだろう。だが……!」 火鍋が右腕の筋肉に力を込め、血管をビキビキと浮き上がらせる。     火鍋「俺の方がケンカが強い。だから、俺はあいつに金を借りた。……それなのにっ!! あン野郎は……!!」   火鍋が、なにかに怒りだした。 額の血管が、ピクピクと震えている。     火鍋「……あいつは!! 俺を『裁判』にかけようとした!! 『金を返せ』ってよう……! いけすかねえ野郎だ……!! 漢なら! 漢ならよぉ……」     火鍋が深呼吸をする。 次第に怒りが落ち着いたのか、震えが静かになった。         そして、窓のすき間から、そよ風が入り込み、火鍋の髪を揺らした。                   火鍋「――漢なら、 『テメエの力のみで金を取り返せ。』 ……じゃねーと、シャバイとは思わねーか?」                             シャオ「思わないアル」 ドウ「思わないな」 子パンダ「キュウ」 火鍋は、ふっと笑った。 火鍋「――女子供には、わかんねえよ……」                     「頼もーーーーーーーーーーーっ!!!」 バッキィィィィィィーーーーーーーンン!! そのとき。火鍋の家のドアが、何者かにより破壊された。 そこに現れたのは。黒い道着に金の龍のマーク。黒龍拳であった。 ドウ(……! まさか! あの金の龍のマークは……!!) ドウは知っている。 それは、宗師ウーミンにより認められたもののみが背負える強者の称号。       「四天王」の証であった。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳