最強バトルの人 / 第21話

第13話 決意

火鍋「喧法の極意を教えてやる。『《《最強の意地》》』だ。来な。」     ――このゴロツキ、わかってないアル! 火鍋は満腹の私よりも、少し弱い。 対するは、満腹の私と同格の四天王が、ふたり。 相手との力量差がわかっていない。 一対一でも敵わない相手なのに、どうやって―― 「おい」 壁にめり込んだハゲが、小さな声で話しかけてきた。頭が下、足が上になっている。 シャオ「……なにアルか」コソコソ ドウ「シャオ、お前……」コソコソ     ドウ「――どうして逃げなかったんだ?」 え。と思った。 なんで私が。逃げる? ドウ「――お前の目的は父の仇討ちだ。四天王ならウーミンの居場所もわかるだろう。今は逃げて、やつらの動きを探れば、必ずウーミンにたどり着く」コソコソ ドウはその調子で続けた。 ドウ「――俺の千手八脚拳と八脚は、確実にダメージを与えている。火鍋が注意を引きつけているうちに、こっそり逃げろ。俺は、火鍋にすけだ――」 シャオ「――なに言ってるアル!!」     神雷火と暴風火がこちらを見る。 しまった。大声を出しすぎた。 ドウは、今にも飛び出しそうに、壁から抜け出そうと奮闘している。 神雷火「――心配せずとも、もとより目的は貴様、シャオだ」 暴風火「この借金親父は後回しにしてやる」 四天王ふたりが近づいてくる。 すると――。 火鍋「おい。なに無視してんだ」 「――舐めてんのかテメー等ぁああ!!」 ッガツゥウン!! 火鍋の頭突きが、暴風火の顔面に入る。 暴風火「――くぉっ」 火鍋「おらああああぁぁ!! 今、俺がシブいとこだったじゃねぇかぁああ!!」 続けて、暴風火に、ヘッドバットを連発した。 神雷火「――暴風火っ! 貴様、もはや許せぬっ――」 火鍋「――許せねぇなら。どうするってんだぁぁああ!??」 火鍋は、神雷火の後ろ髪を掴み、引き寄せながら―― ―― メシャッッッ 頭突きをした。 神雷火「――――〜〜ッッ!!」 火鍋「テメーェェェ等ぁあ! 見てるかぁ!? なにコソコソ内緒話してんだぁあ!?」 ビクッ 急に怒鳴られたので、体が震えた。 火鍋――、いや、このゴロツキ借金不良男――。 私よりも――強い? 火鍋「よし。聞けェェ! 『俺はコイツ等を、頭突きだけで倒ぉぉぉす!!!』」 !?? ――このゴロツキ、「自らに不利な条件を敢えて自分から出している――」!!     ――四天王たちの空気が変わる。 神雷火「――貴様、本気で怒らせたな!! 雷帝突!!」 雷のように早い突きが。 ドゴゴゴ 火鍋「ぐっ!!」 暴風火「台風脚!!」 つむじ風のように激しい足技が。 シュバババ 火鍋「――ぐがが!!」 神雷火、暴風火「「――疾風迅雷拳!!」」 怒涛の蓮撃!! ――だが、 ゴシャァア 火鍋「――うらぁ!!」 神雷火「――――っ」     ――自分に課した不利な条件。 メ゛キャァ 暴風火「――――ぉぉっ」     ――いや、この男の言葉を借りるなら―― 火鍋「おらああああああ!! このシャバ僧どもがあああああ!!!」 ガンガンガンガンガンガンガンガン!!! 神雷火「    」 暴風火「    」     ――『意地』が!! この漢を強くしている!!――     「――かっこいいな」 ん? 「――火鍋だ。そうだ、思い出した。昔、ロンパオ老師から聞いたことがあった……!」 ハゲが、話しかけてきていた。     ドウ「火鍋は――」 ドウ「『意地を張れば張るほど、強くなる』!!」         * Q.どうすれば勝てる?       A.火鍋の 6 を 14 にする ――――――――――――――         ――……稲妻蹴!        ゴシャァ 「強いな」 「……そうアルね」 「ふたりがかりでも、やり合えている。拳法以外にも、これほど強い武術があるとは……!」 「……」 ――……鎌鼬《かまいたち》腕!      ゴシャッ 「……ハゲ。さっきのどういうつもりアル」 「なにがだ?」   ――風刃爪!    ガンガンガンガン!  うわぁー 「……逃げるのはお前アル。これは、私の仇討ちアル」 「俺にとっても老師だ。育ててくれた恩がある。父のように思っている」 ガツゥン    ぎゃああああ 「お前、ずっとなにを気にしているんだ?」 ハゲが、私の目を見る。 「この俺が着いて行きたいって言った。この俺が仇を討ちたいんだ。お前、俺のことを守ろうとしていないか?」 「……そうアル。だってハゲ、弱いアル」 「はーーーはっはっは! 千手八脚拳のドウも舐められたもんだ!」 ――はーーはっはっは! シャオ! きょうこそおれはおまえにかつ!―― ――――! シャオの中で、今のドウと、こどものドウが重なる。 ――そうか、ドウ。この男は。 「シャオ! この俺は、昔とは違う! あらゆる拳法、学問を学んだ! さらに俺は、火鍋のもとで修行をして強くなる! 今、力が足りなければ、さらに力をつけるだけだ!」 ――昔から、なんにも変わっていないのだ! ドウの腕が、めり込んだ壁からようやく外れ、千手八脚拳の構えをとる。 「シャオ! 忘れるなよ。俺が本当に倒したいのは、お前だけだ! ウーミンを倒し、いずれは俺の千手八脚拳が、お前を倒す!」 「! ……面白いハゲアルね! なんどもなんどもかかってきては、私に泣かされてきたあのお前が! シャオも構える。 「お前が私に勝つ日は、未来永劫ありえないアル!」 「いったな!」 「いったアル!」 「どっちが強いか!」 「負けないアル!」 「しかしまずは!」 「そうアル!」 「「ウーミンを、倒すまでは!」」       ――ハゲ、いや、ドウ。こいつは、負けず嫌いで、自信だけはいつもあって、いつのまにかハゲていて、いつもどこかズレている―― ――そういう男なのだ――       「はぁっ!」 ドウの全身が、めり込んだ壁から抜け出す。 体をクルッと回転させ、受け身を取る。 そして、中国式のお辞儀をしながら、火鍋に向かって言った。 ドウ「火鍋老師! 俺に修行をつけてください!!」     一方、火鍋。 火鍋「――はぁ――はぁ――。おーーーぅ…………。そのまえに……病院……だ…………。」 火鍋 対 黒龍拳四天王ふたり。 結果は、両者ノックダウン。     *     ???「“喧法の火鍋”……ですか。なかなか面白いですね。」 糸目の男が、一部始終を覗いていた。

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