たぺっと!! / 第4話

たくさんの神様と契約して異世界で最強目指してるものです〜4話〜試験の時間〜

「ここが、多くの冒険者が集う街――ハーネスティアだ!!」 大門をくぐり抜けた瞬間、高橋が誇らしげに両手を広げた。 活気ある市場、行き交う武装した人々、そして漂ってくる香ばしい匂い。 「おおーっ!! すごい活気だ!」 「ここの通りは、美味しい料理屋さんがたくさん並んでいるんですよ?」 さやが人差し指を立てて微笑むと、てぺは思わず、 「じゅるり……!」 と、よだれを文字通り垂らしそうになった。 「あ、いや……! 飯はあとで行きます! まずは……登録を!」 「はは、そうだな。ついてきてくれ」 ーー冒険者ギルド本部。 重厚な扉を開けると、さらに熱気あふれる空間が広がっていた。 「お帰りなさいませ、高橋さん、さやさん!」 笑顔の受付嬢が出迎える。高橋はギルドカードを差し出しながら親しみを込めて応じた。 「ドラインドドラゴンの討伐完了届けだ。それと、冒険者登録をしたいっていう凄腕の少年に出会ってな、連れてきたんだ」 「ドラインドドラゴンの討伐、お疲れ様です! ……冒険者登録ですね、かしこまりました。それでは、そちらの奥の部屋でお待ちください」 「あ……よろしくお願いします」 「じゃ、俺たちはここでお別れだな! 受付を済ませたら飯でも食うさ。てぺ、達者でな〜!」 「試験、頑張ってくださいね!」 「高橋さん、さやさん、本当にありがとうございました!」 二人に手を振り、てぺは案内された応接室へと入った。 「こちらでお待ちください」 「わかりました!」 しばらくソファーに座って緊張しながら待っていると、がちゃりと扉が開き、仕立ての良いローブを羽織った初老の男性が入ってきた。 「こんにちは……私はここのギルド長をやっている、ハーネスですよろしく!」 「ハーネス……!? ここの街の名前とおんなじじゃん!!」 「はっはっは! よく言われるよ。さっそく冒険者登録の件だが……なんと運が良い。試験日がちょうど、今日の13時からなのだ。もうすぐだな! 会場は外の広場だ。そのまま参加してくるといい!」 「おお、ありがとうございます! よろしくお願いします!」 ーー試験会場(ギルド裏手の広場)。 会場には、我こそはと腕に覚えのある志願者たちがひしめき合っていた。 「わ……人が……たくさんいるな……」 「なーにをコミュ障発動しておるのじゃ! そんな弱気じゃ、最強になっても頼りないぞ?」 肩の上で浮遊するこはるが、呆れたようにてぺの頬をつつく。 「わ、わかってるけど……大勢に注目されるのは慣れてないんだよ」 壇上の受付官が、声を張り上げた。 「それでは! これより冒険者適性試験を始めます! この『魔測の宝石』に手をかざしてください。魔力量とコントロール能力を数値化し、初期ランクを測定します!」 「よし、俺が一番乗りだ! いきなりAランクとか出しちゃうぞ!!」 自信満々の大柄な男(モブ1)が宝石に手をかざす。 キィィィィン……! という音と共に、魔力の光が膨らみ―― 【判定:Bランク】 「な!! なんだって!? AどころかBだと!?」 「十分すごいですよ。はい、次……てぺさん」 「あ、はい。わかりました」 てぺが緊張した面持ちで宝石の前に立つ。 (……よし。あまり目立ちすぎると後々面倒だ。ここは限界まで魔力を抑えて……) てぺがそっと手をかざす。宝石は、ほんのりと弱々しく明滅しただけだった。 【判定:Fランク】 「ぷっ、あはははは! Fだってよ! Fランク!!」 先ほどの男(モブ1)が腹を抱えて爆笑する。周囲からも失笑が漏れた。 「なっ……! あやつ、舐め腐りおって! おい、てぺ、今すぐアイツを灰にして――」 「いいんだ、こはる。わざと魔力をコントロールして抑えたんだから」 「なぜじゃ! 先の戦闘、お主の魔術出力は間違いなくSランク相当だったのに!」 「いずれわかるよ……(こういうのは目立たない方が動きやすいからね)」 ーーやがて試験が終わり、登録手続きのためにロビーへ戻る時間。 てぺが受付へ向かって歩いていると、すれ違いざまに、先ほどのモブ1が意地悪く足を突き出してきた。 「おっと」 ズサーーッ! てぺは見事に引っかかり、床へ派手に転がった。 「あーあ、転んじゃったねえ! ま〜、Fランクの雑魚だもんね!」 「く、ぬ、ぬ、ぬ……! てぺ、どけ! いま、ここで、あやつを塵にしてやろうぞ!!」 こはるが怒髪天を衝く勢いで、てぺの髪を引っ張りながら暴れる。 「てぺさん、お怪我はありませんか?」 奥から出てきた受付嬢が慌てて駆け寄る。 「さっそくなんですが、てぺさんに依頼(ミッション)をお願いしたくて……」 「はあ? 受付さん、そんなFランクの雑魚より、俺様たちにミッションを託したほうが確実だと思いませんかねぇ? ギャハハ!」 モブ1のパーティーメンバーたちも一緒になって下卑た笑い声を上げる。 こはるの小さな両手に、青白い炎が宿り始める。 「こはる……今は我慢だ。……あの、受付さん。悪いんですが、俺は『ダンジョン』に行きたくて。これなんですけど……」 てぺは懐から、古い羊皮紙を取り出して受付嬢に見せた。 「こ、これは……!! 炎神様が直々に管理しているという、あの伝説のダンジョンの『推薦書』!? ど、どうやってこれを手に入れたのですか!?」 「え……? いや、これって誰でももらえるやつじゃ……」 「何をおっしゃるんですか! これは国から『Sランク相当の実力がある』と認められた者にしか交付できない、超極秘の推薦書ですよ!?」 「な、何だって!? あの難攻不落の伝説のダンジョンの……!?」 モブ1たちが、引き攣った顔で後退りする。 「おい……こはる……!!」 てぺが引き攣った笑顔のまま、肩の上の神様をギロリと睨みつけた。 「あ……忘れておったわい……。そうじゃった、ここ100年間、我がダンジョンの合格者がおらんくて、いつの間にかSランク扱いに指定されておったんじゃった……。てへっ☆」 「『てへっ』じゃないよ!! 目立たないようにわざとFランクにした意味がないだろ!!」 受付嬢が、ゴホンと咳払いをして話を戻す。 「と、とりあえず、まずは別のミッションを受けていただけますか? ダンジョンへの入場は、規則として公式Sランクの許可証がないと、入り口のセキュリティを突破できませんので……」 「分かりました。ミッションを受けます」 「じゃ、じゃあ、そのダンジョン推薦書は、この俺様に譲って――」 「駄目です。これはてぺさん個人に宛てられた推薦書ですので、他譲渡は不可能です」 受付嬢にバッサリと切り捨てられ、モブ1はぐうの音も出ない。 こはるはてぺの耳元へ近づき、不敵にニヤリと笑いかけた。 「安心するが良い、てぺ。入り口のセキュリティなど、管理者たる我が裏から開けてやろう……」 「……いや、そういう不正アクセスみたいなのはやめよう? ギルド追放されたら最強どころじゃないからね。……よし、まずは目の前のミッションを片付けるか!」 Fランクスタートのてぺと、お転婆な炎神こはる。 二人の異世界成り上がりロードは、早くも波乱の予感を見せていた。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳