青い米(@Aoikome1) / 第2話

第2話 ルーブルの違和感 殺人鬼の聖堂女 (後編)

クレアが少し間を開け、話す 「なぜ、三本なの、そして、動機、顔…全部わからないわね」 ハンターは何か思い出した様に返す 「あ!もしかして、どっかで見たことがあると思ったら、ちょっと待ってくれ!」 ハンターがすぐに携帯を取り、同僚に連絡する 「もしもしー!あんた、まだ残業中か?」 同僚が苛立ちながら返す 「冷やかしなら、1の切断ボタンを押してください、」 「ごめんって、探して欲しい絵があるんだ」 「はぁ…まぁいいぜ、何の絵だ?」 「女がカトリックの教会を襲撃して、骨を三本抱えてる絵」 同僚は心底絶望し、柄にもない声をあげる。 「そ、それだけで…?」 「以外と少ないだろ?な?お願い!」 「わかったよ、ハンター、その代わ」 電話が切れた、どうやら同僚が上司に見つかった様だ 「クレア、どっかでこの絵、見たことあると思ったんだよ、多分、俺は、この絵師を知ってる」 「本当?!ハンター、流石ね」 「あぁ、けど、同時並行で考えていこう、動機は…」 「…」 二人は、想いに耽《ふけ》り、クレアはこう考えた (私は、どんな状況なら、骨を三本回収する?) (骨、骨、骨…葬式?遺体?) クレアが小さく、沈黙を破る 「…確証はないのだけど、思いついた」 「お?聞かせてくれ、俺も思いつくかもしれない」 「じゃ、クイズ形式にするわ」 クレアが続け様に言う 「女は骨を回収する必要があった、なぜ?」 ハンターは少し考えた後、とても自信ありげにいった 「聖遺物は除く……遺族に、渡すため、とか?」 「惜しい、ってかほぼ正解よ」 「じゃあ…葬式に出すため…とかか?」 「そう、私が考えたことはこうよ、」 クレアは、確証はないが、確信した様な口ぶりで話す 「女はこの骨の元となった人を好いていた、しかし、その恋人はカトリック、プロテスタントの女と、戦わなければならない、」 「女は、どうしても未練を捨てられなかったのか、骨だけでも埋葬しようと持ち帰った、」 「愛する男を殺した表情、それなら、この顔も説明がつくんじゃないかしら?」 ハンターは驚愕の表情を浮かべ、舌を巻く 「なるほど…もう教授になってたのか?」 「ふふ、どうも」 そうして二人が納得したころ、電話が鳴った 『もしもし!ハンター!』 「悪い悪い、で、例の絵師は?」 『あぁ、見つけたよ、画像も送ってやろうか?』 「あぁ〜頼む」 『まったく…これは貸しだからな』 「あぁ、代わりと言っちゃなんだが、面白い話を聞かせてやる」 ハンターは興奮を抑えられず、まるで自分が見つけた様に同僚に先ほどの考察を話す すると、同僚は当然の様に指摘した 『それ、違うな、女はカトリック教徒だ』 「は?なんでわかるんだ?」 『例の絵師の常連客だ、しょっちゅう自画像を書かせてた、その中に、十字を切ってる絵がある、カトリックは確定だ』 ハンターが息を荒げ、つい声を大きくして言う 「待て待て、話が変わってきたぞ!」 同僚が次々と情報を注ぎ入れる 『あと、多分、夫がいる、お前の言った《《男》》だと思うぞ、夫婦の絵画がある』 「マジか!」 ハンターはここが寮だと言うことも忘れ、声を大きくしてしまう ドン!と、壁から聞こえた気がした 「あぁ〜、ごめん…あとでかけ直す」 クレアに情報を共有し、二人で考え込む 「…余計わからなくなったわね」 「あぁ、だからこそ、わかっていることを整理しよう」 現時点でわかっていることメモ フランスが舞台の絵 カトリック教徒がカトリック教会を襲っている 骨をなぜか回収 16世紀 「うーん…ただ、女の顔的に、恋愛が関わってきそう、ってのはあってると思うのよね」 「でも、冷静に考えたら、愛する人なのに、三本だけ!回収するなんて、あるかぁ?」 「全部持って帰ればいいのにな」 クレアは意気消沈しながら反論する 「…全部、ないとか?墓参りは別にできるし、独占したいのなら、墓荒らしすればいいのよ」 「墓がなかった、または、中に遺体がなく、 教会で保管されてた、とか?」 「かもしれないわね」 ハンターは呆れた様に言葉を吐く 「そもそも教徒が教会を襲撃するのが意味不明だ…教会に不満があった、とかか?」 いつの間にか、部屋はエアコンの駆動音以外、何も聞こえなくなっていた (教会に不満が…お布施か…いや、だとしたら、こんな顔はしない、なぜだ) (三本しか持ち帰れなかった?そこに三本しかなかった?) (16世紀) (16世紀の不満…) (風習…) ハンターは、立ち上がり、もう一度興奮し、呟く 「クレア、ちょっと待っててくれ、いま、凄いことが降りてきた様な…」 ハンターはすぐに自分の机に座り、凄い剣幕で鉛筆を握り、書き出す 15分ほど経っただろうか、ハンターがドアを開け、クレアの前に姿を現す ハンターが汚いメモを見ながら叫ぶ 「整った!クレア!クイズだ!」 「いいわ、どうぞ!ハンター」 「第一問!なぜ、3本しか持って帰れなかった?」 「…三本しかなかったから?」 「正解だ!」 「第二問!なぜ、三本しかなかった?」 クレアは考え込み、今までのハンターの言葉を思い出す ( 教会で遺体は保管 女は教会に対して不満を持っていた 聖遺物泥棒) 関係の見えなかった線が、浮かび上がった 「…!聖遺物として、各地の教会に保管されていたから?」 ハンターは興奮を抑えて客観的に言おうと努力しつつ、話す 「まず、16世紀ヨーロッパなら、分散埋葬が主流、夫はプロテスタントとの宗教戦争に駆り出される、結果、死亡し、そして、その遺骨は聖遺物として各地の教会へ分散された」 「妻は夫の死体が、信仰を集める道具とされている事に、怒り狂った、当然の感情だかな、結果、教会に向かい、この有様だ」 「そして、夫の一部を取り返したものの、心臓は見つけられなかった、だから、この女は泣いているんだ」 クレアが少し悲しそうに呟く 「悲しい話ね…」 「あぁ、けどこれは妄想だ、結局はな、違うかもしれない、けど、俺はこんな話だと信じてる」

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