青い米(@Aoikome1) / 第1話

第1話 ルーブルの違和感 殺人鬼の聖堂女 (前編)

ルーブル美術館の、アルバイト、ハンターが掃除をしている 「よぉ《《ハンター》》、掃除は順調か?」 「あぁ天職だね、16世紀に生まれてたら、執事として上り詰めてた」 「はは、やっぱり妄想癖は変わんないな、お前じゃ|完全雑用メイド《メア オブ オール ワーク》だ」 「じゃ、お前は十字軍遠征に駆り出される歩兵だな、」 「ははは、強い男ってことか?まぁいい、倉庫の掃除、頼めるか?」 「最高!マジかよ!?」 「俺も行ったが、ほとんどはガラクタだった」 「考古学者にとっては、ガラクタは純金だぜ」 そうしてハンターは鍵を受け取り、倉庫に向かう ハンターは、感嘆の声を漏らす 「もう廊下だけで泣けてくるぜ、こんなホコリの量、お宝まみれに決まってる!」 ハンターの耳には、どこかの島から聞こえてくる、ケルト音楽で鼓膜は満タンになっていた 「失礼しまーす…ダヴィンチさん、いらっしゃいますか〜」 蝶番が不快な音を立てる 「あぁ…最高…」  倉庫は予想以上に広い、 木箱 空の額縁  四肢の削れた彫刻  名前もわからない道具  まるで歴史を押し込んだ巨大なおもちゃ箱の中に、ハンターは入っていた ハンターはあまりの興奮に、目が泳ぎ続け、右往左往していたが、ふと、動きが止まる 「おお?この絵、なんだぁ…?」 遠景にルーブル王宮が描かれ、聖母マリアの絵からカトリックの教会ということがわかる カトリック教会で女が一人で信徒を殺戮し、骨を三本抱えている絵だった、そして何より奇妙だったのは 女が浮かべている感情は怒りなどではなく、悲しみだった 「どっかで見た様な…フランスの絵か?」 「うーん…カトリックを襲撃する理由ねぇ…シンプルに宗教戦争を描いた絵か?」 「いや、もっと深い意味があるはず、この絵なら…うーん、何世紀頃だ…」 ハンターはとりあえず掃除を進めて、後で聞くことに決めたが、ハンターが妄想を抑えられるわけもなく、結局掃除は3時間ほどかかったが、掃除中、一度もその絵が離れたことはなかった 「なぁ、あんた、ちょっとこっち来てくれ、」 「なんだハンター、倉庫の手柄をお披露目したいってわけか?」 「お披露目したいのは別である、来てくれ!」 ハンターは元考古学者の同僚を連れて、倉庫にやってきた 「あぁ〜この絵か、何が聞きたい?」 「まず、あんたに聞きたいのは、この絵は何世紀ごろの絵なんだ?」 同僚は目を凝らして絵を見る 「あ〜、16世紀か、17世紀かな?」 「なら、宗教戦争か?この絵は」 「それっぽいな、女が、カトリック教会で、信徒を全員殺して、聖遺物らしき骨までとってる、決まりじゃないか?ハンター」 「やばい、興奮しすぎてる…聖遺物って…」 ハンターはしばし考えた後、不安そうに聞く 「えぇっとぉ…聖遺物は、ザビエルとかの聖人が残した死体とか物とかだっけ?」 「あぁ、それであってる、」 「まぁ〜そうだなぁ…けどそんなありふれた話じゃなさそうな気がするなぁ…ほら見ろよ、この女、勝者の顔か?もっとにやけるだろ」 「それを言われるとな、けど、いくら異教徒とはいえ、殺したらやっぱ心が傷んだ、とかか?」 ハンターは顎に手を当て、考えつつ呟く 「16世紀、カトリック…16世紀ならプロテスタントもいる、宗教戦争っぽいな…16世紀のプロテスタントとカトリックの宗教戦争…ユグノー戦争の時期か…」 ハンターが何か思いついた様に反論する 「16世紀なら、ユグノー戦争の時期だろ、宗教戦争なんだから、異端者への憎悪なんて、俺たちに想像もできないレベルだ、殺しても特に問題はなさそうと思うんだが。」 「まぁなぁ、けど、そこにさえ目を瞑れば、宗教戦争の絵になってる、それ以外はあってるんだから、女の表情にも理由はあるんじゃないか?」 「あぁ〜まぁな、じゃあ、もう一つ聞きたいことがある」 「どうぞ、ハンター」 「これ、フランスであってるよな?ほら、ルーブル美術館が描かれてる」 「あぁ、フランスが舞台なのは確定だ、今お前が知りたいのは、この女の動機だろ?」 「あぁ、そうだな、なんかあったら教えて」 「あぁ、掃除を頑張るならな」  そうして、ルーブル美術館が閉館し、ハンターは家に帰り、考える (なぜ、あの女はあんな表情をしていたんだ?まず、カトリック教会を襲っている。16世紀のフランスなら、まず思い浮かぶのはプロテスタントだが…) そうして想いに耽《ふけ》っていると声が聞こえた 「ハンター、おかえり、また考え方か?」 「あぁ、そうだ、ただいま、クレア」 「何考えてんだ?いつもの考古学が?」 「あぁ、この絵、わかるか?」 「そりゃ、大学も同じ、寮まで同じなんだからわかるに決まってんだろ!」 「はは、クレア様の考古学、期待してるぜ」 ハンターは、クレアに撮った絵の写真を見せると、クレアは少し考えながら言い出す 「あぁ、この絵は…」 「グロいのは嫌いだったか?覚えてる限りじゃ違ったが」 「ただの宗教戦争の絵じゃないわよ、こいつは」 「そりゃ俺もそう思ってる、なんと言ってもこの女の表情だ、」 「いや、私が気になるのは、骨の方よ」 「ただの聖遺物だろ?下手な金鉱より価値があった、盗んで損はしない」 「違う、なんで三本だけなんだ?ってとこよ、それに、プロテスタントなら、聖遺物は否定してる、盗むためが目的じゃないわね」 「壊すためか?」 「なら、その場で壊しそうじゃない?何か他の目的があるのよ」 クレアは続けて言葉を吐き出す 「遺体ごと聖遺物化したこともあったのだから、もっとあっても良さそうじゃない?」 「なんで3本だけなのかしら」

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