朝海 / 第43話

Code9

 ジャンク屋は魔物を倒し続けた。何体でも現れる。  ――ちっ……!  ――きりがねぇな!    雨が降りそうだ、早く決着をつけたいと剣を一振りする。予想通りに厚い雲に覆われて雨が降り出した。すると、幻を見ているみたいに、魔物が消えた。剣を構えたまま転ぶ一歩手前で踏ん張る。周囲から驚いた声が上がった。 「おい――あれ!」  ジャンク屋の男は仲間が浮足立っているなと思った。何があった? と警戒をする。だが、理由を知って目を見開いた。見慣れた狼の紋章が、高く掲げられてはためいている。あれだけ、降っていた雨も止んだ。暑い雲に覆われていた空が晴れていく。  太陽の光で水滴が輝く。  支配から解放されたのだ。  戦いに勝った。  ――終わったのか?  ――終わったと言っていいのか? 「勝った? ライエル騎士団長とカイルが勝ったのか?」 「そうだよ! カイルたちが勝った証明だよ!」  ――お待たせしました。 「気にするな、カイル」  反射的に返事を返した。  え? と振り返ってもカイルはいない。  ――そんなに驚かなくても、魔法石の力です。  どうやら、空耳ではないと分かった。 「はぁ……騎士団は何でもありだな。それを、使いこなせるお前もお前だが」  お前がここに来て五年か? それぐらいたつが何を考えているか、たまに分からねぇなとガリガリ頭をかく。まぁ、そこがお前らしいがと話をしながら武装解除の支持を出す。 「無理をしやがって。目を離せないな」  ――サラさんに怒られてしまいました。  ――エリスと騎士団の皆さんにも。 「しっかり怒られたみたいだな。それぐらいが、ちょうどいいだろう。で? 俺に言いたい話とは?」  ――一緒に戦ってくれてありがとうございます。  ――助かりました。 「当たり前だ。ここは俺たちの町でもあるからな」  ――復興も手伝ってくれますか? 「当然だろう!」  ――よろしくお願いします。  そこで、通信が切れた。 「あいつ言いたい言葉だけを言って切りやがった!」  怪我をしているせいで、話す声にはあまり力はなく、呼吸も荒いなとは思った。しんどいのは理解できるが、あまりにもあっけなくないか? と呆然とする。言葉にしないと損するぞ、カイルとお節介を口にした。  勝手に兄になった気持ちになってしまう。はぁ、とため息をつく。ため息は晴れたばかりの空に吸い込まれていく。  ――なぁ、カイル。  グッと体を伸ばしながら名前を呼ぶ。  ――生きていてくれてありがと。  ――帰って来たら、また一緒に飲もうぜ。  さぁ、お前ら感傷に浸る暇はねぇ、夏祭りが始まる前に復興に取り組むぞ! と叫ぶとおー! と拳が上がった。

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