芦名 雅 / 第8話

十二日目

今日もこうして日記を書くことができている。 それだけで奇跡なのだと思う。 どうやら私が見つけられてから三日間眠っていたらしい。 つまり、本当は山荘で目を覚ましてから何日が経ったのか分からない。 日記を書き始めた日から数えるなら、今日は十二日目ということになる。 そういうことにしておこうと思う。 目を覚ました場所は山荘ではなかった。 木でできた見慣れない部屋だった。 暖炉には火が入っている。 だが、あの山荘の暖炉ではない。 窓の外を見ると、雪は積もっていた。 それでも、あの終わりの見えない吹雪ではなかった。 静かに雪が降っている。 その景色を見ただけで、自分が助かったのだと分かった。 体を起こそうとしたが、思うように力が入らない。 全身が痛んだ。 近くにいた人が私に気づき、慌てて誰かを呼びに行った。 しばらくすると何人かの人が部屋へ入ってきた。 私にいくつもの質問をした。 名前は何というのか。 どこから来たのか。 家族はいるのか。 私は何一つ答えられなかった。 記憶がない。 その一言しか言えなかった。 彼らは困ったような顔を見合わせていた。 話を聞くと、私は雪崩に巻き込まれて倒れていたらしい。 村の人たちが偶然見つけて運び込んでくれたのだという。 命が助かったのは運が良かったからだと言われた。 その通りなのだろう。 今こうして日記を書けていること自体が奇跡なのだから。 今日あったことも書かなければならない。 だが、その前に山荘を出た日のことを書いておこうと思う。 記憶はまだ残っている。 時間が経てば薄れてしまうかもしれない。 忘れてしまう前に書き残しておきたい。 八日目。 私は山荘を出た。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳