RenHazumi / 第7話

第7話「強い人ほど、騒がない」

第7話「強い人ほど、騒がない」 (土曜日・05:30) 如月美雪のマンション――東京・渋谷 美雪は、アラームが鳴る前に目を覚ました。 もう慣れている。 何年にもわたる鍛錬によって作り上げられた彼女の身体は、たとえ頭がまだ休みたがっていても、いつ起きるべきなのかを知っていた。 美雪はベッドの端に腰を下ろす。 窓を見る。 渋谷の空は、まだ暗い。 高層ビルの明かりだけが灯っている。 まるで眠ることのない、人工の星々のようだった。 美雪は立ち上がる。 デスクライトを点ける。 そして、部屋の隅から木刀――棒状の剣、木製の刀――を手に取った。 彼女は三十分間、素振り――居合道の基本動作――を行った。 一つ一つの動きが正確だった。 制御されている。 無駄な動きは一つもない。 終えると、シャワーを浴びる。 着替える。 白いシャツ。 黒いパンツ。 ダークグレーのブレザー。 長い髪は、後ろで整然とまとめた。 美雪はダイニングテーブルに座った。 簡単な朝食を用意する。 ご飯。 卵。 味噌汁。 静かに食べる。 そして、スマートフォンを開いた。 【警備報告――GINZA SIX】 日時:金曜日・20:00~21:30 担当:如月美雪 記録: 黒瀬蓮という名前の来場者が、投資家向けブリーフィングに参加。 男性。21歳。大学生。 護衛なし。 同行者なし。 Mansory P9LM EVO 900を運転――世界限定10台の限定車。 観察: ・一人で到着。 ・多くの人間とは会話していない。 ・隅の席に座り、周囲を観察。 ・イベントを早めに退出。 ・不審な行動は確認されず。 ・しかし……一般的な来場者のプロフィールとは一致しない。 美雪は、その報告書を見つめた。 …… 一般的な来場者のプロフィールとは一致しない。 スマートフォンを置く。 窓を見る。 黒瀬蓮。 21歳。 大学生。 数億円する車。 護衛なし。 本人名義で登録された会社もない――少なくとも、私が見つけられる範囲では。 美雪は指でテーブルを軽く叩いた。 …… 彼は、何者? --- 07:00 マンション→渋谷駅→東京メトロ銀座線→溜池山王駅 美雪は駅へ向かって歩いた。 今朝の渋谷は、土曜日にもかかわらずすでに混雑していた。 人々が足早に歩いている。 ゴルフバッグを持っている人もいる。 子供を連れている人もいる。 そして美雪のように、仕事用のバッグを持っている人もいる。 美雪は溜池山王駅で降りた。 そこから近くのオフィスビルへ向かって歩く。 灰色のビル。 正面には濃紺のロゴがある。 国際セキュリティサービス。 美雪は中へ入った。 エレベーターで8階へ向かう。 --- 07:30 国際セキュリティサービス――8階・ブリーフィングルーム 美雪が入ったとき、すでに部屋には人が集まっていた。 五人。 全員、特別警備部門のメンバーだった。 男性も女性もいる。 年齢は25歳から40歳。 全員が経験豊富で、全員がプロフェッショナルだった。 美雪はテーブルの端に座る。 「おはようございます。始めます」 ノートパソコンを開く。 大きなスクリーンに報告書を表示する。 「昨日の銀座六でのオペレーションは問題なく終了しました。インシデントもありませんでした。ただ、一つ話しておきたいことがあります」 メンバーたちが待つ。 「黒瀬蓮という名前の来場者です。男性。21歳。大学生」 メンバーの一人―― 35歳の男性。 短い髪。 顎には小さな傷跡がある。 相良武が眉を上げた。 「大学生? 銀座六の投資家向けブリーフィングに?」 「はい」 「どうして?」 「それを知りたいんです」 美雪がボタンを押す。 スクリーンに一枚の写真が表示される。 監視カメラから撮影されたものだった。 蓮が出口へ向かって歩いている。 服装はシンプルだった。 Tシャツ。 ジャケット。 ジーンズ。 スニーカー。 「服装が、この場所に合っていません」 美雪が言う。 「イベントにも合っていない。彼が運転していた車にも合っていない」 「どんな車ですか?」 相良が尋ねる。 美雪がもう一度ボタンを押す。 スクリーンに車の写真が映し出された。 黒い。 幅広い。 攻撃的なデザイン。 地下駐車場の監視カメラから撮影されたものだった。 相良が身を乗り出す。 「これは……Mansory P9LM?」 「はい」 「限定車の? 世界に10台しかないやつ?」 「はい」 部屋が静まり返る。 別のメンバーが手を挙げた。 28歳の女性。 短い茶色の髪。 藤本彩だった。 「如月さん。彼の経歴について、何か情報はありますか?」 「多くはありません」 美雪は答えた。 「東京の私立大学に学生として登録されています。経済学部。5セメスター。住所は……練馬のアパート。ただし……」 「ただし?」 「その住所は、もう有効ではありません。最近、赤坂へ引っ越しています。プレミアムマンションです」 相良は眉をひそめた。 「大学生が赤坂に? プレミアムマンション?」 「はい」 「親が金持ち?」 「裕福な両親がいるという記録はありません」 美雪は続ける。 「父親――黒瀬隆。中堅企業の会社員。母親――黒瀬由美。専業主婦。大きな遺産もありません。家族経営の会社もありません」 藤本がテーブルを軽く叩いた。 「じゃあ、金はどこから?」 「それを知りたいんです」 美雪が答える。 再び、部屋が静かになる。 美雪は一人一人を見た。 「情報を集めてほしい。ただし、積極的に動く必要はありません。不審に思われるようなこともしなくていい。ただ……軽く観察してください。彼が何者なのか。何をしているのか。なぜ、あのようなイベントに参加する資格があるのか」 「クライアントからの依頼ですか?」 相良が尋ねる。 「いいえ。私自身の判断です」 相良が眉を上げる。 「如月さん、普段はそんな……」 「分かっています」 美雪は相良を見る。 「でも、あの人には何かがあります。それが何なのか知りたいんです」 相良はゆっくり頷いた。 「分かりました。調べ始めます」 --- 10:00 国際セキュリティサービス――8階・美雪の執務室 美雪は自分のデスクに座っていた。 ノートパソコンの画面を見つめる。 画面には黒瀬蓮のデータが表示されていた。 名前:黒瀬蓮 年齢:21 生年月日:3月12日 出生地:東京 住所:赤坂レジデンス・港区(以前:練馬区) 学歴:東京の私立大学・経済学部・5セメスター 職業:なし(大学生) 収入:記録なし 銀行口座:―― 美雪は机を指で叩いた。 …… 収入がない。 仕事もない。 なのに、数億円する車を持っている。 プレミアムマンションに住んでいる。 美雪は別のページを開いた。 黒瀬アセットマネジメントのデータ。 会社名:黒瀬アセットマネジメント 設立:最初の送金の3日前(銀行記録による) 住所:港区赤坂 代表取締役:黒瀬蓮 資本金:¥1,000,000,000 事業:投資、資産管理、買収 美雪は身を乗り出した。 …… この会社が設立されたのは……最初の送金の3日前? 次のページを開く。 ヤマト・ロジスティクスのデータ。 会社名:ヤマト・ロジスティクス株式会社 所在地:新宿 状態:黒瀬アセットマネジメントにより買収(2日前) 負債:¥4,800,000,000 資産:¥6,200,000,000 従業員:87名 美雪はそのデータを見つめる。 …… 48億円の負債を抱える会社。 それを買収したのが……一週間前に設立された会社? 美雪はため息をついた。 筋が通らない。 スマートフォンを開く。 相良へメッセージを送る。 美雪:相良、黒瀬アセットマネジメントを設立した人物を調べて。設立書類に誰が署名したのか。最初の資本金を誰が用意したのかも。 相良:了解です。時間がかかります。 美雪:待ってる。 スマートフォンを置く。 ノートパソコンの画面を見つめる。 …… 黒瀬蓮。 あなたは一体、何者? --- 13:00 国際セキュリティサービス――8階・食堂 美雪は一人で食堂に座っていた。 冷たいそばを注文する。 彼女の好物だった。 冷たい麺。 軽い汁。 それで十分。 周囲では、同僚たちが様々な話をしている。 クライアント。 オペレーション。 スケジュール。 美雪は意図せず耳を傾ける。 「なあ、聞いた? 物流会社が買収されたらしいぞ」 「どこ?」 「ヤマト・ロジスティクス。新しいオーナー、まだ若いらしい。20代だって」 「マジで? 20代? どうやって?」 「知らない。なんでも……金持ちの息子らしいぞ」 美雪はそばの汁を一口すすった。 …… 金持ちの息子。 だが、裕福な両親がいるという記録はない。 美雪はそばを食べ終える。 立ち上がる。 そして自分のデスクへ戻っていった。 --- 15:00 国際セキュリティサービス――8階・美雪の執務室 美雪のスマートフォンが振動した。 相良:如月さん、情報が取れました。 美雪:送って。 相良:黒瀬アセットマネジメントは、高橋健司という人物によって設立されています。彼は役員として登録されています。ただし、代表取締役と株主は引き続き黒瀬蓮です。 美雪:高橋健司? 相良:はい。男性。58歳。以前は投資会社の幹部でした。犯罪歴はありません。黒瀬蓮との以前からの関係も確認できません。 美雪:つまり、高橋が黒瀬蓮のために会社を設立した? 相良:そのようです。ただ、なぜなのかまでは確認できていません。 美雪:高橋について、ほかに情報は? 相良:30年間、投資会社に勤務。昨年退職。ほかの記録はありません。 美雪:ありがとう、相良。 相良:もう一つあります。如月さん。 美雪:何? 相良:高橋健司が……現在、新宿のヤマト・ロジスティクス本社にいます。黒瀬蓮と一緒です。 美雪は画面を見つめた。 …… 黒瀬蓮と一緒。 スマートフォンを置く。 窓を見る。 …… 今日? 美雪は立ち上がる。 バッグを手に取った。 --- 16:00 国際セキュリティサービス→溜池山王駅→東京メトロ丸ノ内線→新宿駅 美雪は新宿駅で降りた。 西へ向かって歩く。 オフィスビル。 レストラン。 店。 その間を通り抜けていく。 今日の新宿は混雑していた。 人々が足早に歩いている。 買い物袋を持っている人もいる。 仕事用のバッグを持っている人もいる。 美雪は一つのビルの前で立ち止まった。 6階建て。 灰色の外壁。 壁にはロゴがある。 ヤマト・ロジスティクス株式会社。 美雪はそのビルを見つめた。 …… ここが買収された会社。 そして今……黒瀬蓮が中にいる。 美雪はロビーへ入った。 受付には、一人の若い女性がいた。 髪はきちんとまとめられている。 「こんにちは。何かご用でしょうか?」 「国際セキュリティサービスの如月美雪です」 美雪は言った。 「高橋健司さんにお会いしたいのですが」 「お約束はございますか?」 「ありません。でも重要な用件です」 受付の女性はコンピューターに何かを入力した。 「少々お待ちください」 美雪は待った。 五分。 十分。 エレベーターが開く。 高橋健司が出てきた。 灰色のスーツ。 濃紺のネクタイ。 こめかみには白髪が混じっている。 高橋は落ち着いた表情で美雪を見る。 「如月さん」 そして言った。 「どうぞ、お入りください」 --- 16:15 ヤマト・ロジスティクス――3階・会議室 部屋は簡素だった。 木製のテーブル。 革張りの椅子。 道路に面した窓。 ここから美雪には、新宿の混雑した交通が見えた。 高橋はテーブルの向かい側に座る。 その隣には――空席が一つ。 「何かございましたか?」 高橋が尋ねる。 「黒瀬蓮」 美雪が言った。 高橋は彼女を見る。 「黒瀬様が、何か?」 「彼が何者なのか知りたいんです」 高橋は薄く笑った。 「それは難しい質問ですね」 「なぜ?」 「黒瀬様は……簡単に説明できる方ではありません」 高橋はカップにお茶を注ぐ。 「自分のことを話すのが好きではありません。注目されることも好みません。ただ……静かに暮らしたい。それだけです」 美雪は高橋を見る。 「でも、彼は会社を持っている。高級車も。プレミアムマンションも」 「はい」 「静かに暮らしたい人が、どうしてそれらすべてを持てるんですか?」 高橋はお茶を一口飲む。 「それは、いい質問です」 カップを置く。 「如月さん。私は30年間、ビジネスの世界で働いてきました。多くの人間に会いました。金持ち。権力者。野心家。ですが、黒瀬様は……違います」 「どう違うんです?」 「彼は富を望みません。権力を追い求めません。地位にも関心がありません。そして、だからこそ……」 高橋は一瞬、言葉を止めた。 「すべてが彼のもとへやって来るんです」 美雪は眉をひそめる。 「どういう意味ですか?」 高橋は笑った。 「申し訳ありません。それ以上は説明できません。話したくないからではなく――私自身も、完全には理解していないからです」 美雪は高橋を見つめる。 …… 何か知っている。 でも、教えるつもりはない。 そのとき、ドアが開いた。 美雪は振り向く。 一人の青年が入ってくる。 黒いTシャツ。 グレーのジャケット。 ジーンズ。 少し黄ばんできた白いスニーカー。 黒瀬蓮。 彼は入口で立ち止まった。 美雪を見る。 そして高橋を見る。 「客?」 蓮が尋ねた。 「国際セキュリティサービスの如月さんです」 高橋が答える。 「黒瀬様にお会いしたいとのことです」 蓮は美雪を見る。 その瞳――暗い灰色の瞳は、落ち着いていた。 驚いていない。 警戒もしていない。 ただ……落ち着いている。 「如月……美雪」 蓮が言った。 美雪は立ち上がる。 「昨日、銀座でお会いしましたね」 「はい。覚えています」 蓮は高橋の隣にある空席へ座った。 そして、自分でお茶を注ぐ。 一口飲む。 「何か、私にできることがありますか?」 美雪は蓮を見つめる。 「知りたいんです……あなたが何者なのか」 蓮は美雪を見る。 「黒瀬蓮。大学生。21歳」 「私が求めている答えではありません」 蓮はカップを置いた。 「何を探しているんですか?」 「説明です」 美雪は言った。 「なぜ、一人の大学生が会社を持っているのか。車を持っているのか。マンションを持っているのか。投資家向けブリーフィングに参加する資格があるのか」 蓮は数秒間、彼女を見つめた。 そして、ため息をつく。 「如月さん」 「はい」 「あなたは、初対面の人にいつもこんな質問をするんですか?」 美雪は答えなかった。 蓮はもう一度お茶を飲む。 「分かりました。あなたは警備員です。脅威がないことを確認したい。それが仕事なんですね」 「はい」 「でも、俺は脅威じゃない」 「すべての人間は、そうでないと証明されるまでは脅威です」 蓮は美雪を見る。 そして――初めて、薄く笑った。 「いい原則ですね」 美雪は蓮を見つめる。 …… 怒っていない。 防御的でもない。 それどころか……私の質問を尊重している。 蓮はカップを置いた。 「如月さん。正直に言います。すべてを説明することはできません」 美雪は黙って聞く。 「話したくないからではなく――ただ、いくつか……説明するのが難しいことがあるんです」 「例えば?」 「俺が会社を持っている理由とか」 蓮は美雪を見る。 「俺は頼んでいません。勝手にやって来たんです。それ以上は説明できません」 美雪は蓮を見つめる。 青灰色の瞳で、嘘の兆候を探す。 何もない。 …… 嘘をついていない。 あるいは――とても優秀な嘘つきなのか。 蓮は立ち上がった。 「俺は行かないと。用事があります」 ドアへ向かって歩く。 そして、そこで立ち止まった。 「如月さん」 美雪が振り向く。 「ありがとうございます」 「何について?」 「質問してくれたことです」 蓮は美雪を見る。 「ほとんどの人は、俺の車を見る。俺のマンションを見る。でも、聞こうとはしない。ただ……勝手に決めつける」 蓮はドアを開けた。 「それじゃ」 ドアが閉まる。 美雪は椅子に座ったまま、閉じたばかりのドアを見つめた。 …… 彼は…… 高橋がお茶を一口飲んだ。 「面白いでしょう?」 美雪は高橋を見る。 「何が?」 「黒瀬様です。見た目とは違う方ですよ」 美雪は答えなかった。 立ち上がる。 「お時間をいただき、ありがとうございました」 そして部屋を出た。 --- 17:30 ヤマト・ロジスティクス→新宿駅→東京メトロ丸ノ内線→溜池山王駅→国際セキュリティサービス 美雪はオフィスへ戻った。 自分のデスクに座る。 ノートパソコンの画面を見る。 …… 黒瀬蓮。 21歳。 大学生。 富を望んでいない。 なのに、すべてを持っている。 美雪は報告書を入力する。 【観察報告――黒瀬蓮】 日付:土曜日 場所:ヤマト・ロジスティクス・新宿 記録: 黒瀬蓮本人と直接接触。 防御的な態度は見られない。 傲慢でもない。 嘘をついている兆候も確認されなかった。 彼は、自分の富を「頼んでいない」と話した。 そして、それが「勝手にやって来た」とも。 所見: ・落ち着いている。 ・合理的。 ・物質主義的ではない。 ・プライバシーを尊重している。 ・注目を好まない。 推奨: 直接的な脅威はなし。 ただし、黒瀬蓮の背景は依然として不明瞭。 さらなる観察が必要。 美雪は報告書を保存した。 画面を見つめる。 …… 「頼んでいない」 美雪は蓮の視線を思い出した。 落ち着いていた。 防御的ではなかった。 傲慢でもなかった。 …… 本当に強い人ほど、声を上げる必要なんてない。 ただ……そこにいる。 美雪はノートパソコンを閉じる。 立ち上がる。 バッグを手に取る。 オフィスを出ようと歩いていたとき、足を止める。 …… 黒瀬蓮。 あなたが何者なのか、私が調べてみせる。 美雪は歩き出した。 東京の夜が、彼女を迎えていた。 --- 20:00 如月美雪のマンション――渋谷 美雪は床に座っていた。 窓を見つめる。 渋谷の空は暗い。 高層ビルの明かりが灯っている。 美雪は湯飲みを手に持つ。 一口飲む。 …… 黒瀬蓮。 湯飲みを置く。 スマートフォンを手に取る。 美雪:相良、引き続き観察をお願い。ただし、慎重に。彼に気づかれないように。 相良:了解です。何か具体的なことはありますか? 美雪:ない。ただ……何かおかしいことがあったら、何でも報告して。 相良:了解しました。 美雪はスマートフォンを置いた。 天井を見つめる。 …… 彼には何かがある。 そう思う。 何か……私には説明できないものが。 美雪は目を閉じる。 …… そして、私はそれが何なのか知りたい。 --- [次8話 —「俺の日常が、少しだけ変わった」] 蓮は大学生としての日常へ戻る。 だが、今の彼には新たな重荷があった。 経営しなければならない一つの会社。 彼に頼る87人の従業員。 そして、彼を調べ始めた警備員――如月美雪。 そんな中、蓮はヤマト・ロジスティクスで問題に直面する。 87人の従業員の運命に関わる、難しい決断。 蓮は初めて、自分のスキルと知識を使わざるを得なくなる。 そしてシステムは再び―― 蓮が望んでいない報酬を与える。 [次話へ続く……]

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