綿ダッコ / 第11話

第10話 結果発表

 答案を見ていた舞子は、一向に喋りだそうとしない。  冷や汗がさっきから止まらない。  貧血でも起こすんじゃないかと思うぐらいには、出ている。   正直、「当意即妙」の「即」が出来ていたかと言われれば、微妙な時間だったと思う。  けど、安良子さんから教わったのを元に、どうにか書き切れた。  名前と理由が思いついたのは、未来人の特権かもしれない。  それでもあかんのか…………? 「…………なるほど、よく出来ているわ。清見女房、どう思う?」  清見女房が、書いた紙を受け取った。  なんか、本物の歴史人物に自分の漢詩を見られるという、不思議な体験をしている。 「…………さっきから思っていますが、本当にあなたが考えたのですよね?」 「はい、ご子息様に合ったものを考えました」  とは言っても、未来を知っているだけなんですけどね…………。 「…………字の綺麗さがあまりよろしくないかと」 「字の綺麗さなんて、後からどうにでもなるわよ。それよりも才能について、聞かせてほしいわ」 「…………単刀直入に申し上げますと、発想は明らかに町人の出を逸脱しております」 「私もそう思うわ。武術に関しては私も分からないけれど、漢文に関しては十分な出来栄えよ」  舞子は、お腹をさすりながら何かを書いていた。 「そうねぇ…………、ただの門番にするには勿体ないわ」  しばらく、沈黙が続いた。  冷や汗が、額からだけじゃなく、全身から噴き出す。 「よし、私の私的な侍司にしましょう」  腰が抜けそうになった。  それぐらいのことだった。 「顔も悪くないしね」  顔採用とかあんの…………?  いや、漢文が良くて採用は分かるよ?未来を知ってるだけやけどさ。  でも、顔採用をつけ足します…………? 「ま、舞子様、漢文が良かったから採用されたのですよね…………?」  ありがとう、清見女房……さん。  そこは俺も知りたい。 「当たり前じゃない。けれど、門番にするだけじゃあ勿体ない顔なのは本当だと思うわよ?」  うーん…………、なんか複雑…………。 「安良子と雅道之助以外は、持ち場か部屋に戻ること。|酉の刻《とりのこく》には戻ってきてね」  その場にいた全員が頭を下げた。  俺と安良子さん以外の人達は全員、部屋を出ていく。 「やっぱり安良子のことを信用して良かったわ」 「ありがたきお言葉でございます」 「あっ、そうそう、安良子に見てもらった漢詩も一馬帝天からすぐにお返事が来たわ。とても褒められていたわ。ありがとう、安良子」 「お役に立てて何よりでございます」  舞子は終始、笑顔だった。  その笑顔のまま、舞子は俺の方を見た。  その顔はどこか、部活の先輩に似ている気がした。 「雅道之助、あなたの部屋は安良子の隣よ。詳しいことは酉の刻に言うから、あなたたちも戻りなさい」  俺たちは、頭を下げた。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳