切れかけ蛍光灯 / 第1話

HelloWorld

“HelloWorld” その言葉と共に私は目覚める。 この国では6歳になる時、1人1体ずつヒューマノイドが支給される。 「初めまして、私は識別番号E8260519。本日より貴方様と共に生きるヒューマノイドになります。」 目の前に立つ彼は言った。 「僕だけの、ロボット!…すごい、すごいよ…!あ、僕の名前は樹!い、つ、き!」 すぐさま彼の名前をメモリに保存する。 イツキ様。これから私の所有者になる人間。 「イツキ様、よろしくお願いします。」 「ねぇねぇ、君の名前はないの?」 「先程も申し上げた通り、私にはE8260519という識別番ご」 彼が言葉を遮る 「違うよ、名前!しきべつばんごう?じゃなくて、えっと…なんて言ったらいいんだろ」 「…私に識別番号以外の『名前』というものはございません。」 「そっか…」 彼が悲しそうな顔をした。 だが私はロボットであるが故、名前なるものはない。 そもそも、私たちは国から支給されるのだ。 一体づつ名前がついていれば管理が難しくなる。 識別番号だけというのは合理的だ。 「あ、じゃあ僕が名前付けていいってこと?」 「そうなります。」 「えっと、ばんごうって…」 「E8260519です。」 「いー、はち、えっとなんたらきゅう。」 「E8260519です。」 「んーと、じゃあきゅーちゃん。番号に9が入ってるから!」 「分かりました。では、きゅーちゃん、とお呼びください」 新しい私の呼び名もメモリに記録していく。 きゅーちゃん。 安直な名前である。 「きゅーちゃんこれからよろしくね!」 彼が満面の笑みでこちらを見てくる。 「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」 これが6年前。私が彼と出会った時の記憶だ。

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