らぱすてー / 第83話

もんもんぐんぐん

 アニメ、日本昔話の「天狗の隠れ蓑」をご覧になられたがあるという人も多いと思う。  千里先が見えると言って竹筒と、隠れ蓑を交換する。調子にのってイタズラし放題。だが、その後、蓑は燃やされてしまう。  彦八は灰を体に塗りたくりイタズラするが、結局バレて大変なことになる。  最後は天狗が筒からその様子を覗いて、笑うという、非常にもんもんする終わり方だ。  賢明なる読者諸君は、すでにこの欺瞞にお気づきのことだろうと思う。  あの最後。筒は偽物だったはずにも関わらず、天狗には彦八の破滅を見て笑っていたのである。それはつまり、天狗がもともと千里眼の能力を有しているという動かぬ証拠。ならば彦八と天狗、騙されていたのはどちらだったのか、自明の理というものだ。  天狗は最初から全てわかった上で、愚かにも騙されたフリをして隠れ蓑を彦八に渡す。してやったりと、のぼせあがりテングになった彦八を、天狗はせせら笑っていたことでしょう。  そもそも、仮にあれが本当に騙していたのだとしても、天狗を怒らせていたらただで済むはずもありません。そこに思い至らないあたり、まさに小賢しいという言葉がふさわしい。  そうして、彦八が図に乗るにつれ、破滅の予感がぐんぐんと高まっていく。果たして、彦八が調子に乗った翌日、蓑は焼かれてしまう。  彦八はこの時もやはり頭が回らない、少し冷静になればその後の悲劇も回避出来ていただろうに、残念ながら彼はやはり小賢しかった。  あの狭い家で、家族なら彦八が蓑を使っているのが分からないはずがない。それを無断で焼いてしまうものでしょうか?  そこから導き出される答えはひとつ。外で野焼きをしていた女性は母親ではなく、天狗が化けていた姿に相違ないのです。  もんもんと頭を抱えた彦八は、やがて持ち前の小賢しさを発揮し、ぐんぐんと破滅への道をひた走る。灰を体に塗りたくるという選択をするのだ。だが、その小賢しさも天狗の手のひらの上だ。    そうして、天狗はあえて筒を使った振りをしてほくそ笑むのです。  最高の騙しというものは、その事自体に気づかれていないということなのですから。

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