たぺっと!! / 第18話

たくさんの神様と契約して異世界最強目指してるものです~18話〜なぞなぞ

「てぺ! あやつを追うぞ!!」 こはるの叫び声と同時に、てぺは地を蹴った。 隔離魔法を容易く打ち破って逃走した「謎の人物」の背中を睨みつけながら、てぺの脳裏に激しい思考が駆け巡る。 (まさか、俺の魔法が効かないなんて……魔王より強いのか!? それとも魔法が効かない体質の人間!? それとも……っ!!) 「――『身体強化・レベルマックス』!!!」 限界まで解放された膨大な魔力がてぺの脚力へと変わり、ソニックブームとともに音速を超えるスピードで空間を駆け抜ける。だが――。 「……やっぱり速いな」 前方を走る謎の人物が、ちらりと後方を確認しながら呟く。次の瞬間、その人物は流れるような動作でさらに速度を上げた。 「なっ……! てぺのスピードを上回っておるじゃと!?」 並走するこはるが驚愕に目を剥く。 「この世にてぺのスピードに勝てる人物など……おそらく……!」 さらに異常だったのは、逃走する謎の人物の行動だった。 魔王との戦いで全半壊したハーネスティアの建物や崩れた壁が、その人物が通過するだけで、まるで時間を巻き戻すかのように瞬時に元通りに修復されていくのだ。 「街を修復しながら逃げるって……どんだけ頭が切れてんだよ! しかも、どれだけ速度を上げても追いつけないなんて……っ!」 激しく息を乱しながら必死に追いすがるてぺだったが、やがて過剰な身体強化の限界が訪れた。身体を包んでいたオーラが霧散し、ガクリと速度が落ちる。 「はぁ、はぁ……ダメだ、解けた……!」 「……そろそろかな? もう追ってこないかな」 てぺたちの気配が遠ざかったのを感じ取った謎の人物は、フッと息を吐き、路地裏の古い教会へと滑り込んだ。 そして、その場でクルリと指を回転させる。空間が静かに歪み、一瞬にして姿を消した。 一方、遅れて教会の前にたどり着いたてぺは、誰もいない静まり返った聖堂を見回して頭を抱えた。 「教会に入ったのは見えたけど……どこへ行ったんだ!?」 ――別の位相に存在する、謎の空間。 巨大なモニター画面には、教会前で途方に暮れるてぺたちの姿が映し出されていた。 それを眺めながら、謎の人物はソファーに深く腰掛け、両足をさすりながら愚痴をこぼした。 「危ない危ない……久々に本気出したら、明日筋肉痛かもな……」 そこへ、空間を切り裂いて『時空の神』ジャネシスが転移してきた。 「あなたほどのお方が、筋肉痛になどなるのですか?」 「それが、なるんだよ〜」 「治癒魔法を使えばよろしいものを……」 「僕はね……この痛みを味わっているのだよ、ジャネシスくん?」 謎の人物がクスリと笑うと、その手のひらに見たこともない複雑な魔法陣が浮かび上がった。 空間に浮かぶステータス画面を指でスライドさせながら、彼は楽しげに、けれどどこか底知れない声で呟いた。 「しかし……この世界の魔法は、いくら僕でも把握しきれないよ……」 ――その頃、ハーネスティアの街。 てぺたちは、魔王戦で傷ついた街の残りの修復作業に追われていた。 「瓦礫よ〜、吹き飛べぇ〜」 アルクレスが住民に配慮してごく弱く魔力を込めると、街散乱していた大量の瓦礫が一瞬で一箇所へと綺麗に集まった。 「おー! お見事!!」 「さすが風神様だ!」 住民たちから歓声が上がる。 また別の場所では、怪我をした人々のもとへてぺが駆け寄っていた。 「『超回復魔法』」 てぺが手をかざすと優しい光が包み込み、酷い出血が瞬時に止まり、傷口が綺麗に塞がっていく。 「あ、ありがとうございます……!」 「お兄ちゃん、ありがとう!!」 「どういたしまして! もう大丈夫だよ」 てぺは一人ひとりに優しく微笑みかけ、手際よく治療を続けていく。 「だいぶここも慣れてきたのう」 こはるが満足そうに頷いていると、仕事を終えたアルクレスが風とともに戻ってきた。 「戻ったぞ!! いやぁ、てぺはもうここハーネスティアの完全な『英雄』だな!」 「ふふん、当然じゃ。……ところで、てぺ。お主はこれからどうしたい?」 こはるが少し真面目な顔になり、てぺの顔を覗き込んだ。 「新しい仲間を探すか? さすがに我ら神と一緒に居すぎて、そろそろ飽きた……とかあるか?」 「そんなことあるわけないだろ!! ……でも、俺は『神聖魔法』を手に入れたいんだ」 てぺの口から出た意外な言葉に、こはるの表情が一変した。 「なっ……神聖魔法!? お主、本気か!? あれは『天使の神・ニコロモ』が、契約者が浄化するたびに精神が壊れてしまうことを危惧し、あまりに危険すぎるが故に封印した魔法じゃぞ!?」 「物は試しだから……やってみたいんだ」 「危険すぎると言っておるのが分からんのか!」 取り乱すこはるに、アルクレスが静かに割って入った。 「こはる、実は私も……今のてぺなら大丈夫ではないかと考えているんだ」 「アルクレスまで……! お主らがそう言うならいいのじゃが……。てぺ、お主は我を少し心配させすぎじゃないか?」 心底心配そうなこはるの視線に、てぺは気まずそうに目を伏せた。 「……それは重々承知の上でございます」 「分かっておるなら良いが……」 「だから! だからこうして相談してるんだよ!」 てぺはガバッと顔を上げ、真剣な眼差しで二人を見つめた。 「今回こそは何事もなく、ちゃんと努力して身につけるから! だから……力を貸してほしい!!」 てぺの強い覚悟に、神々は顔を見合わせ、深く頷くのだった。

運営おすすめ

週間ランキング

全ランキング

反応スコアランキング

もっと見る

PV・ブックマークランキング

もっと見る

更新された連載作品

すべて見る
読み込み中…

新着短編

すべて見る
読み込み中…

作品一覧

読み込み中…

作品ダッシュボード

作品全体の公開状況と、読者からの反応をひと目で確認できます。

作品パフォーマンス

選択期間のPVが多い順

上位5作品
ライブラリ

作品の公開状況と構成

最近の更新

最後に編集した作品

要チェック

公開前に確認したい項目

プレビュー
読者に表示される見た目

表示設定

文字サイズ
100%
背景色
縦書き表示
リッチモード
目次
読み込み中…

キーワードを入力して作品を探しましょう

アクセス解析
アクセス解析データは 5分おき に自動更新されます
読み込み中…
ランクイン記録
通知
通知はありません
地形ブラシ
25
スタンプ
ツール
装飾
表示
100%

世界地図

100%

REACTION SCORE

反応スコアの内訳