NAWOMIDOU / 第13話

第18話:プライドの解体、噛み跡だらけの読書会

 理性をかなぐり捨てた情事が始まった。  それは愛でも慰めでもなく、どちらが相手を完全に屈服させるかという、剥き出しの解体劇。  廃墟の床に敷かれたリネンシャツの上で、私の身体は容赦なく暴かれていった。 「あっ……、嘘……っ!」  蓮見の手指は、カメラのピントを合わせるように冷酷で、そして正確だった。  私の最も敏感な場所、触れられただけで腰が浮いてしまうような粘膜の襞を、ミリ単位でなぞり、焦らし、容赦なく抉り込んでくる。 「どうした? 大阪弁で喘いでみろよ。君の薄っぺらいプライド、全部暴いてやるから」 「く……っ、あぁんっ……! あんたなんかに……ッ、ひぁっ!」  身体が激しく痙攣し、床を爪で掻きむしる。  重なる肉体。瀬戸内から吹き上げる熱風が、汗まみれの二人の肌を撫でていく。  激しい結合の最中、蓮見が私の首筋に噛みついた。 「痛っ……!」 「君の首に、僕のサインを残しておく。一生消えない、蔵書印だ」  皮膚を裂くような痛烈な痛みが、そのまま痺れるような絶頂の引き金になった。  私の視界が真っ白に弾け飛ぶ。 「あ、あぁぁぁっ……! いく、いっちゃう……っ!」  完璧な大阪弁で叫びながら、私は彼の逞しい背中にしがみつき、激しい痙攣の中で果てた。  ――どれくらい時間が経っただろうか。  我に返ったとき、蓮見はすでに服を着終え、ライカのレンズを拭いていた。 「楽しかったよ。なかなか読み応えのある身体だった」  彼は床に散らばった私のドレスを拾い上げ、私の顔の上に無造作に投げ捨てた。 「じゃあね。次の列車に遅れるなよ、文学少女」  足音を残して、男は去っていった。  一人残された廃墟の床で、私は震える指で自分の首筋に触れた。  そこには、鮮血が滲むほどくっきりと、男の歯型が刻まれていた。 「……っ、ふざけんなや……!」  屈辱と、そして信じられないほどの昂奮で、涙が一筋こぼれ落ちる。  初めて、読まれる側に墜とされた。  このままでは、終われない。この汚名と熱を、誰か別の男に擦り付けて上書きしなければ、私は狂ってしまう。

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