逸漣 / 第1話
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ぷにちゃんからは『ミルク』の香りがする。あたしはこの香りがすごく落ち着くんだよね。シャンプーでもない、ぷにちゃんの匂い。
抱きしめられると、ぷにっと柔らかな感触と『ミルク』の香りに包まれ、優しい気持ちになる。なにも悩みがない頃の子供に戻ったような心地。
今日も「あたし以外」の家族団欒を見て見ぬふりをして、自室に籠りヘッドホンして爆音の音楽を聴く。
早く学校に行きたい。ぷにちゃんに会いたい。抱きついて、『ミルク』の香りを肺にいっぱい吸い込みたい。
あたしは部屋の隅で膝を抱えて、ツインテールのインナーカラーを見つめている。
「ああ、今日も強くてカッコいい……」
片耳に七つずつ付いたボディピアス、また1つ増やそうかな。舌先は高校入学の記念に、先週開けたばかり。舌を少し出して、唇でピアスの感触を確かめる。舌の痛みが何かの感覚を誤魔化してくれる。
「これで、家でも正気でいられる……」
あたしの心を埋められるのはピアスとぷにちゃんだけ――