神成仁 / 第2話

00 エピローグ

この国には、四季折々の美しい景色がある。 春が来て、木々が芽吹き、花が咲く。 日差しが強く照りつける夏を越え、 秋の実りを待ち侘びたと思えば、あっという間に冬が訪れる。 かつて日本は、春夏秋冬を通じて季節の恵みを感じてきた。 だが、我々はいつのまにか秋を忘れてしまった。 穏やかで健やかな風に包まれ、 豊穣の時を思う“秋”は、もうこの国にはない。 季節は短くなる一方で、 秋の味覚、読書の秋、芸術の秋…… それらの言葉さえも、いつの間にか消えた。 我々の四季は今、春・夏・冬。 すなわち日本は春夏冬(あきなし)の国となった。 そして、私たち帝族――春夏冬(あきなし)家は、 “実りのない国”の象徴として生きる。 私の名は、冬爪 美々子(ふゆづめ みみこ)。 11月に生まれた、忘れられし春夏冬の子。 打ち捨てられた、放蕩の娘である。

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