芦名 雅 / 第24話

第24話 恋のお天気 ~今週の見込み~

どこかで、誰かの恋がはじまる 「続いてのニュースです。今週の『恋のお天気コーナー』、お伝えするのは、気象予報士ならぬ恋愛予報士の、雨宮あまみやです」 * 【月曜日】くもり、時々ぎこちない沈黙 商店街の花屋でアルバイトをする大学生、佐伯さえき菫すみれの空模様は、朝からどんよりとした「くもり」。理由は、同じシフトに入っている店長の息子、佐伯さえき司つかさとの間に流れる、微妙な空気のせいだ。 「あの、菫さん。今週末のシフト、代わってもらえますか」 「あ、うん、大丈夫」 会話は事務的なやり取りばかりで、二人の間には気まずい沈黙という名の低気圧が居座っている。予報士としては、この状態が長引くと、恋愛的には「梅雨入り」の恐れがあると警告しておきたい。 【火曜日】にわか雨、一時ときめき 火曜日の午後、店の在庫整理中に、司が誤って花瓶の水を菫にかけてしまうという、まさかのハプニングが発生。 「ご、ごめん! 大丈夫? タオル持ってくる!」 慌てて駆け寄る司の姿に、菫の心には一時的な「にわか雨」ならぬ「にわかときめき」が観測された。予報士としては、このハプニングが二人の距離を縮める好機になる可能性が高いと分析している。 【水曜日】晴れ間、会話量増加の兆し 水曜、閉店作業中の何気ない会話から、二人の空気は少しずつ持ち直しの兆しを見せている。 「司くんって、花の名前、全部覚えてるよね。すごい」 「まあ、生まれたときからこの店にいるようなものだからな」 久々に自然な笑顔が交わされ、恋愛前線はやや回復傾向。ただし、油断は禁物である。 【木曜日】強風注意、決断のタイミング接近 木曜日、司の側に「そろそろ気持ちを伝えるべきか」という強い葛藤の風が吹き始めている。予報士としては、この強風に乗じて行動を起こすことを推奨したい。 【金曜日】夕方から告白の雨、のち快晴 そして迎えた金曜日。閉店後の店内、司は意を決して口を開いた。 「菫、あの、ずっと考えてたんだけど。……好きだ。ただのバイト仲間じゃなくて、ちゃんと、一人の女の子として」 突然の告白に、菫の頬には驚きと嬉しさが入り混じった「告白の雨」が降り注ぐ。しばらくの沈黙の後、菫は小さく頷いた。 「私も、司くんのこと、ずっと気になってた。……嬉しい、です」 告白の雨はやがて上がり、二人の間には、清々しい快晴が広がった。 * 「以上、今週の恋のお天気コーナーでした。来週も、素敵な恋の前線にご期待ください。それでは、雨宮でした」

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