南江行瀬 / 第1話

プロローグ

 突然だが、お前らには推しはいるだろうか。 俺はいる。同じクラスの白山と黒崎だ。  この二人はいわゆる幼なじみで、保育園の頃からずっと一緒らしい。 「ねえ〜和樹〜、課題写させてよ〜」 「それくらい自分でやれ。俺は知らん」 「ケチ〜」  そしてこの二人、距離感がめっちゃ近い。  席で本を読んでいる黒崎に、後ろから抱きついて絡む白山。顔がくっつく距離だと言うのに、お互いに気にする様子がない。 「(白黒てぇてぇ〜……!)」  何を隠そう、俺は腐男子だ。近くに推しカプがいる幸せを噛み締めて生きている。  この二人が幼なじみだと言うのは百も承知だけど、俺は付き合っている説を推したい。 「ケチで結構。やらなかった瑞希が悪い」 「むぅ〜……」 「不貞腐れんな。可愛くない」  絶対付き合ってるやり取りだろこれ!!  思わず机を叩きそうになるのを、なんとか耐える。つり上がってくる口角を片手で抑え、冷静な思考が飛んでいかないように必死にしがみつく。 「(可愛くないとか言って、本当は内心可愛いって思ってるやつ!!てかむぅ〜ってなに!?可愛すぎんだろ!!)」  ちらりと二人を盗み見れば、二人でノートを開いて課題を進めている。でも写してる訳ではなくて、黒崎が白山に教えてるようだ。 「なんでここはこうなの?」 「ここは……」  そして相変わらず距離が近い!!!  向かい合わせで座ってんのに、なんでそんなに顔が近くなるんだよ!!尊いをありがとうございます!!   「(落ち着け〜俺……落ち着け……)」  朝から推しカプを摂取しすぎて鼻血出そう……。

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